
すこやかライフNo.47 2016年3月発行
PM2.5(微小粒子状物質)による健康被害について社会的不安が強まっていますが、実際の日常生活においてぜん息児にどう影響するのか、またどのような予防策が有効なのかは、まだよくわかっていません。こうしたことを解明するため、多方面で研究が進められています。
今回は、富山大学医学部小児科教授の足立雄一先生にPM2.5の基礎知識も含めて、その予防策についてお話をうかがいました。
1982年に富山医科薬科大学卒業後、同小児科学教室に入局。1992年から3年間、米国ネブラスカ大学呼吸器内科へ留学。2013年から富山大学大学院医学薬学研究部小児発達医学講座教授。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医・指導医。
わが国でも以前は太平洋ベルト地帯と呼ばれた広範囲(関東~九州)な工場地帯で、工場や車からの排気物質が原因でぜん息児の数が急増しました。その後、公害対策が進み空気がかなりきれいになり、ぜん息と大気汚染を結びつけて考えることが少なくなりました。ところが、最近になって大気汚染物質が海を渡って日本に飛来することが知られるようになり、PM2.5という専門用語も日常でしばしば聞かれるようになりました。
しかし、現時点では、黄砂やPM2.5がどのような子どもたちに影響しやすいのか、またどうすればその影響を少なくできるのかについて十分な証拠が得られていません。今後このようなことが明らかになれば、PM2.5を必要以上に心配するのではなく、適切な判断や対応ができるようになると思います。