WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.47 2016年3月発行

小児ぜん息現場レポート:ぜん息児へのPM2.5の影響と予防策を知ろう

注意喚起が出されたら適切な行動をとりましょう

もっとも、重症のぜん息児など、PM2.5の影響を受けやすい「高感受性者」の場合は、暫定指針値以下でも影響が出ることがあります。注意喚起(資料3参照)が発せられたら、適切な行動をとりましょう。

PM2.5の予防策として環境省のQ&A注1 では、「屋外での長時間の激しい運動や外出をできるだけ減らす」「屋内でも換気や窓の開閉を必要最小限にする」ことを挙げています。

PM2.5の予防策はほかにもさまざまありますが、その多くは科学的根拠が確立されておらず、国内外で調査研究が進められている最中です。

足立先生も現在、PM2.5のぜん息児・ぜん鳴児への影響と予防策について調べているところです。濃度が高い日と低い日で、幼稚園の欠席、予定外の医療機関受診などがどう変化するかといったデータを収集し、その日の行動パターン(屋外にいた時間が長いか等)と重ねて解析することで、真に有効な予防策や患者さんへの指導のあり方を探るという研究です。

現時点での知見や足立先生の臨床での経験を踏まえ、PM2.5の予防策をまとめると資料4のようになります。参考にしてください。

注1
微小粒子状物質(PM2.5)に関するよくある質問(Q&A) <環境省 微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合>

資料4 ぜん息コントロールの実践を前提としたPM2.5の予防策について 監修/足立雄一 先生

外出を控える

  • 重症のぜん息患者さんの場合、黄砂が大量に飛来した日や、PM2.5の濃度が国の暫定指針値(資料3)を大きく超えた場合に外出を控えることは、症状悪化を防ぐ対策になり得ます。
  • 「大きく超えた場合」の基準はありません。ただ環境省のQ&A注1 では「大きく超えた場合」の参考として、「日平均値が140~150㎍/㎥を超える場合、すべての人は長時間の激しい運動や屋外活動を中止すべき」という、米国・空気質指数(AQI)のアドバイスを紹介しています。

マスク着用

不織布マスクなど一般用マスク

  • 商品によって性能は異なりますが、PM2.5のような微小粒子は透過すると考えるべきです。特に顔面とマスクの間にすき間があると、PM2.5を防ぐ効果は期待できません。
  • 粒子の大きい花粉の排除には有効です。アレルギー症状を強くする花粉とPM2.5の相乗効果を防ぐために着用することは勧められます。花粉の季節、外出から帰った後に髪の毛や服から花粉を払い落とす、といった花粉対策も、この相乗効果を防ぐという意味では効果があります。

N95などの防じんマスク

有効である可能性はありますが、呼吸困難感があるため、長時間の使用や子どもの使用には不向きです。

窓の開閉を控える

窓を開けた屋内のPM2.5濃度は、屋外と同じレベルという実験結果があります。花粉の季節には、その進入を防ぐという意味でも、窓の開閉は必要最小限にするとよいでしょう。

空気清浄機

  • 黄砂飛散日に、窓を閉めたマンションの部屋で空気清浄機を稼働させた結果、SPMの浮遊量が低下したという研究結果があります。ただし、人の出入りが多い部屋での効果は薄いと推測されます。
  • このことから、窓や扉を閉め切った寝室で就寝中に使用するという場合なら、PM2.5の浮遊量を減らす効果が期待できます。その際、布団を敷いて空気清浄機をしばらく稼働させ、埃が落ち着いた後に就寝するのがよいでしょう。

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