WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.51 2018年3月発行

成人ぜん息 COPD現場レポート:楽しく歌って心身ともに健康に成人ぜん息・COPDに対する「音楽療法」の可能性

山﨑先生に聞く

なぜ、腹式呼吸を覚えるのに音楽療法がいいの?

腹式呼吸は、歌うときの呼吸法そのもの“自力の呼気” “他力の吸気”が自然にできる

  • 腹式呼吸は、息を吐き切る(横隔膜が上がる) ➡ 息を吸う(横隔膜が下がる)の順で行います。
  • 最初に息を吐き切ると、肺の中は空気をほとんど使い切った状態になり、意図して吸い込まなくても、自然と口からも鼻からも空気が入ってきます。
  • 実はこれは、歌うときの呼吸法そのものなのです。長いフレーズをひと息で歌い切るときには、息を積極的に吐き切っています。そして次のフレーズに移る前は、息は「吸う」というより、やむにやまれず「入って」きます。山﨑先生はこれを「他力の吸気」と呼び、意識して息を吐くことを「自力の呼気」と呼んでいます。

音楽療法Q&A ーどんな曲、歌い方がいいの?ー

Q.腹式呼吸を覚えるのに、適した歌はありますか?

A.唱歌や童謡がお勧めです

呼吸器のトレーニングには、ゆったりしたテンポで、フレーズの長さの整ったものがお勧めです。かつての唱歌や童謡がそれに当たります。

(例)月の沙漠(加藤まさを作詞 佐々木すぐる作曲)

  • つきのさばくを(ブレス) はるばるとー(ブレス)
  • たびのらくだが(ブレス) ゆきましたー(ブレス)
  • きんとぎんとの(ブレス) くらおいてー(ブレス)
  • ふたつならんで(ブレス) ゆきましたー(ブレス)  ((ブレス)…ブレス=息継ぎ)

「里の秋」「琵琶湖周航の歌」「荒城の月」などもお勧めです

(注1)
歌うときにお腹に手を当てると、横隔膜の動き(息を吐くと横隔膜が上がりお腹がへこむ。息が入ってくると横隔膜が下がりお腹が膨らむ)が確認できます。仰向けに寝転んで歌うと、横隔膜の動きがよりはっきりわかります。
(注2)
立って歌う場合は、自然に胸を張った姿勢で、胸郭が開いた状態を意識してください。ただ、良い姿勢を意識しすぎて肩に力が入ってしまうのも良くありません。座って歌う場合は、浅くいすにかけて、背中をまっすぐに伸ばします。腰骨をできるだけ立たせた状態を心がけます。

Q.大きな声で歌える場がありません。どうすればいいですか?

A.口ずさむことや朗読も効果はあります

歌は口ずさむだけでも効果はあります。ひと息でできるだけ長くハミングしたりしてみましょう。腹式呼吸を意識すれば、新聞記事を声に出してひと息でできるだけ長く読むことも、立派なトレーニングになります。お風呂や車の運転中など、一人の空間を探して歌うのもお勧めです。

Q.歌うことが苦手で、かわりに楽器を演奏したいのですが?

A.オカリナやリコーダーがお勧めです

歌が苦手な方、声を出すことに障がいがある方は、笛がお勧めです。笛を吹くことは、歌うことと同様、理想的な呼吸活動そのものです。オカリナや小学校で使うリコーダーなどを試してみてください。

注意: ハーモニカのように、「吹く(吐く)」だけでなく、「吸う」動作も必要な楽器は呼吸器のトレーニングには向きません。

山﨑先生に聞く
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