小児ぜん息 基礎知識

赤ちゃんとぜん息

赤ちゃんがゼーゼーするのは、ぜん息ですか? それとも風邪の症状ですか?

ヒューヒュー、ゼーゼーは、空気の通り道(気道)が狭いときに聞かれる、ぜん息に特徴的な症状です。
ただし乳児はもともと気道が細いため、風邪をひいただけでもゼーゼーすることがあります。乳児のぜん息と風邪を区別するのは簡単ではありません。息苦しい症状が見られる、ゼーゼーをくり返しているなどの場合はぜん息が疑われるため、早めに医療機関を受診しましょう。

乳児はもともと気道が細いため、風邪をひいただけでもゼーゼーすることがあります。乳児のぜん息と風邪を区別するのは簡単ではありません。息苦しい症状が見られる、ゼーゼーをくり返しているなどの場合はぜん息が疑われるため、早めに医療機関を受診しましょう。

赤ちゃんのゼーゼー=ぜん息とは限らない

乳児はもともと気道が細いため、風邪でもヒューヒュー、ゼーゼー、ゼロゼロがよく聞かれます。その他にも胃液が食道に逆流しやすい、飲み込む機能に異常がある、気道が狭い・柔らかい、生まれつき心臓に異常があるなどの場合もゼーゼーすることがあります。乳児のぜん息をこれらの病気と区別するのは簡単ではありませんが、ゼーゼーの状況を詳しく観察して伝えることが大切です。

急にはじまる激しい咳き込みやゼーゼーはピーナッツなどを吸い込んだ可能性も!風邪などの症状がない元気な乳児が、突然に激しい咳き込みを始めたという場合には、ピーナッツなどを誤って吸い込んでしまった可能性もあります。小さいおもちゃ、ボタン電池など乳児の周囲に小さいものを置かないようにしましょう。

ゼーゼーの経過にもいろいろある

乳児期にゼーゼーしてぜん息と言われても、そのままずっとぜん息が続くとは限りません。3歳までに治るタイプや、3歳を過ぎて6歳までに治るタイプ、6歳を過ぎても続くタイプなどいろいろあります。どのタイプであってもゼーゼーを放置せずに、早めに治療することが大切です。

ゼーゼーの症状を伝えるときのポイントLet's TRY!

ゼーゼーの症状があるときは、次の①~③についても観察し医師に伝えましょう。

どんなときにゼーゼーする?
かぜをひいたとき/ミルクを飲んだ後/寝入り/明け方 など
どんな音がする?
ヒューヒュー/ゼーゼー/ゼロゼロ/ゴロゴロ など(息をすうとき、はくときのどちらか?)
ゼーゼー以外の症状は?
発熱/鼻水/おう吐 など
赤ちゃんが息苦しいときの症状を見逃さないようにしましょうCHECK!

乳児は、自分で“苦しい”と訴えることができません。大人が注意深く観察して息苦しさに気づくことが大切です。以下のような症状が見られる場合には早めに医療機関を受診しましょう。

  1. 1.母乳やミルクを飲まなくなる。
  2. 2.咳き込んで眠れない。
  3. 3.唇や顔色が悪くなる。
  4. 4.機嫌が悪くなる、興奮して泣き叫ぶ。
  5. 5.激しく咳き込み、ときにおう吐する。
  6. 6.呼吸が速い、あらい。
  7. 7.息をはくときに、強いヒューヒュー、ゼーゼー、ゼロゼロやうなり声が聞かれる。
  8. 8.息をすうとき、のどやろっ骨の間などがはっきりとへこむ、小鼻が開く。(服を脱がせて、胸の動きを観察しましょう)
  9. 9.胸の動きがいつもと違う。(服を脱がせて、胸の動きを観察しましょう)

赤ちゃんでは急に症状が悪化することがあります。息苦しい症状があるときは、早めに医療機関を受診しましょう。

どういう子がぜん息になりやすいですか?

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーがある子、家族にぜん息の人がいる子、男の子、などがぜん息になりやすいと言われています。さらにタバコの煙、ダニ、ペット、風邪、大気汚染物質などの環境因子がぜん息を起こすきっかけになります。ぜん息を確実に予防できる方法はありませんが、なりやすい子どもはこれらの環境因子に注意しましょう。

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーがある子、家族にぜん息の人がいる子、男の子、などがぜん息になりやすいと言われています。さらにタバコの煙、ダニ、ペット、風邪、大気汚染物質などの環境因子がぜん息を起こすきっかけになります。これらの環境因子に注意しましょう。

家族がぜん息だと子どもはぜん息になりやすい

小児ぜん息は2歳までに約6割、6歳までに8,9割が発症し、男児に多く見られます。ぜん息になりやすい体質は遺伝するため、家族にぜん息があると、子どもがぜん息になる可能性が高くなります。しかしぜん息の発症には環境因子の影響も大きいため、両親がぜん息でも必ず発症するわけではありません。

ぜん息になりやすい体質は遺伝するため、家族にぜん息があると、子どもがぜん息になる可能性が高くなります。

アレルギーの病気がある子どもはぜん息になりやすい

ほとんどの小児ぜん息はアレルギーと関連しています。他のアレルギーの病気(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎など)がある子どもは、アレルギー体質をもつことが多く、ぜん息にもなりやすくなります。

アレルギーの病気(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎など)がある子どもは、アレルギー体質をもつことが多く、ぜん息にもなりやすくなります。

アトピー性皮膚炎を早期にしっかり治療することがぜん息の予防に有効!?アトピー性皮膚炎をきちんと治療せずにそのままにしていると、湿疹の部位からダニや食物などの成分が体内に入り、アレルギーを起こしやすくなります。湿疹の程度が軽い場合でも、早期からしっかりと治療して機能を回復させることにより、他のアレルギーの病気を予防できるのではないかと期待されています。アトピー性皮膚炎の治療には適切なスキンケアと薬物療法が大切です。

ぜん息予防のためにできることから始めましょうLet's TRY!
  • タバコは絶対にやめましょう

    家族の喫煙は子どものぜん息発症や症状悪化の原因となります。タバコの煙は気道に炎症を起こし、子どもの肺の成長を妨げます。喫煙者のはく息にも有害物質が含まれるので、屋外やベランダで喫煙した場合でも子どもに影響します。特に妊娠中は、おなかの中の子どもの発育や発達にも悪い影響を及ぼします。喫煙は本人の健康も害します。家族に協力してもらい卒煙しましょう。禁煙外来を利用するのもいいでしょう。

    家族の喫煙は子どものぜん息発症や症状悪化の原因となります

  • ペットに注意しましょう

    イヌ、ネコなどの毛のあるペットへのアレルギーもぜん息の原因になります。ぜん息になりやすい子どもがいる家庭では、ペットの飼育には注意が必要です。

    イヌ、ネコなどの毛のあるペットへのアレルギーもぜん息の原因になります。

  • ダニの対策をしましょう

    小児ぜん息ではダニへのアレルギーが主要な原因になります。こまめな掃除、寝具の手入れなど家の環境からダニを少なくする対策は、ぜん息の悪化予防に有効です。

    小児ぜん息ではダニへのアレルギーが主要な原因になります。

  • 大気汚染物質に気をつけましょう

    室内外の大気汚染物質は気道を刺激して、ぜん息を起こりやすくします。黄砂やPM2.5など屋外の大気汚染は個人レベルでの解決は困難ですが、情報に注意して不要な外出を避けるなどの対策をしましょう。

  • 風邪を予防しましょう

    乳児期に風邪をひいてゼーゼーをくり返す子どもはその後ぜん息になる可能性が高くなります。風邪予防のために、ワクチン接種、家族の手洗い、うがいを心がけましょう。風邪の症状が軽い場合でも、咳が長引く、ゼーゼーするなどがあれば早めに医療機関を受診することが大切です。

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