すこやかライフNo.43 2014年3月発行
特集 子どもの成長とアレルギー「アレルギーマーチ」から学ぶアレルギー疾患の予防と管理
アレルギー疾患は「子ども自身の要因」、「環境要因」が複雑にからみあい、発症していくものと考えられています。
まず、子ども自身の要因には、「親がアレルギー疾患にかかったことがある」などの遺伝的な要因と、子どもの成長にともなう生体側の要因があります。生まれたばかりの子どもは、免疫系や臓器が未発達であり、成長に応じて影響を受けるアレルゲンも変化していきます。
つぎに、環境要因とは外部からの影響のことを指し、食べ物やハウスダストなどのアレルゲンへの接触(食べる、さわる、吸うなど)、大気汚染、受動喫煙、ウイルス感染などがあります。成長につれて、子どもの行動範囲が室内から屋外に広がったり、食事メニューが変化したりすることで、接触するアレルゲンも拡大していきます。
このようなことから、子どもの成長によって発症しやすいアレルギー疾患が変化する「アレルギーマーチ」が起こります。右の図のように、乳児期に食物アレルギーを発症し、間もなくアトピー性皮膚炎、少し成長してぜん息、アレルギー性鼻炎などが出てくるというのがよくあるパターンです。
もちろん個人差があり、アレルギー性鼻炎のあとにぜん息が出たりすることもあるなど、みんなが同じ経過をたどるわけではありません。また一方では、心身が大きく変化する子どもでは、成長によってアレルギー疾患が治る可能性があるという点も注目すべきポイントといえます。
遺伝的に発症リスクの高い人は、アレルギー疾患の予防のために、ダニやほこりなどのアレルゲンを除去するための環境整備や、ウイルス感染を回避するための手洗い、うがい、基礎体力向上などの対策を行った方がよいとされています。
しかし、アレルギー疾患の発症にはさまざまな要因があり、生活の中からそのすべてをとり除くことは非常に困難です。またアレルギー疾患の発症には子ども自身の要因も関係していることから、アレルゲンの除去は必ずしも発症予防につながるわけではありません。
そのため、発症要因の除去に予防的に取り組むことは大切ですが、アレルギー疾患の発症に「できるだけ早く気づくこと」と「適切な治療と管理により症状をコントロールしていくこと」も非常に重要なのです。
次のページ以降、年代別の特徴や発症に気づくためのポイントなどを紹介していきます。