WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.48 2016年9月発行

小児ぜん息 その他アレルギー現場レポート:熊本地震の教訓から学ぶアレルギー児の災害対策

大きな役割を果たした熊本医療センターと栄養士会

こうした混乱の中、大きな役割を果たしたのが、国立病院機構熊本医療センターと日本栄養士会・県栄養士会です。

熊本医療センターでは、本震翌日の17日に、日本小児アレルギー学会や国立病院機構、NPO、企業などから提供された対応食の無料配布コーナーを設置。テレビのテロップで紹介されたこともあ り、大勢のアレルギー児と保護者が、アルファ化米や離乳食、ライスクッキーなどを取りに来ました。同センターは、熊本市とその近郊のアレルギー児の保護者にとって、実際には来院できなくても「あそこに行けば、対応食はどうにかなる」と、大きな支えになったといいます。

一方、日本栄養士会は、県の要請を受け19日に災害支援チームの本隊が被災地入りし、県保健所や市町村行政栄養士と連携して避難所を巡回、被災者の栄養状態を把握するなどの活動をしました。また、県庁内に「特殊栄養食品ステーション」を設置、県健康づくり推進課内にもスタッフを常駐させ、ニーズに合った特殊栄養食品を調達したり届けるなどの作業に当たりました。同様の作業は、被災地の市町村でも行われたそうです。前出・上野さんは、こう語ります。「膨大な支援物資に紛れて届く特殊栄養食品をきちんと管理し、ニーズのあるところに届けるという作業は、事務系職員では難しい。たとえばアレルギー用ミルクがあっても、『粉ミルク』としてまとめてしまったりします。かといって私たち行政栄養士だけでは、到底手が回りません。そもそも行政栄養士が配置されていない市町村もあったため、栄養の専門家の方による的確な調達や提供ができたことは、本当に助かりました」


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