
すこやかライフNo.50 2017年10月発行
医療トピックス:「大人になる前に知っておいてほしいこと」
小さい頃から子どものぜん息の管理をされてきた保護者の方は、発作で苦労していると、もうあんな思いはさせたくない、と思春期になっても過保護な対応をしがちです。半面「もう中学生なんだから」と本人に任せきりだと、実はさぼっていたということもよくあります。
しかし、いつまでも親が管理していては、子どもは自立しません。薬の名前が言えるイコール理解しているとは限りません。とはいえ、「吸入したの?」「困るのはあなたよ」と言われても、子どもはそんなことは百も承知です。わかっていることを指摘されるからよけい腹をたてて、「うるさい」と反発するのが思春期なのです。
そこで、お互い冷静な時にルール作りの話し合いをします。たとえば、まず吸入を毎日やることに対する本人の意思確認をします。言われなくてもやるつもりがあるのか、どのようにやろうと思っているのか。親はどのような手助けをしたらいいのか? やらなかった場合、親が叱っていいタイミングも話し合いで決めます。これでお互いの役割と責任が明確になります。できればこれを思春期になる前に決めておくことが理想です。
さらに実行していることは認めてあげましょう。思春期の場合「ほめる」より「認める」ことが大事です。「吸入したのね」と事実を声にするだけで、本人は認められたと感じます。親の感情だけで、ルールを変えてしまうと、反発するだけでなく「親は約束を守らない」と示しているようなものです。
子どもは自分が納得して決めたルールであれば、守ろうとします。保護者は、子どもが決めたことを守ったら「認める」、うまくいかなかったり失敗したときは「相談に乗る」こと。アドバイスをするなら2、3提案をし、本人に考え選ばせます。病気に関することなら、医師に質問してみようという提案もあります。こうして試行錯誤する体験を積み重ねることによって、子どもは自己管理を身につけていきます。答えを親が示すことは簡単ですが、そこをぐっとこらえて、積極的に子どもの成長を待つ姿勢が大切です。子どもの自己管理の芽を摘むことのないよう、ときには言いたいことを我慢して、見守ってください。