すこやかライフNo.50 2017年10月発行
現場レポート:「ノルディック・ウォーキングを活用した呼吸リハビリテーション COPD患者さんの身体活動性を改善」
次に、ノルディック・ウォーキングがCOPDの患者さんにどのような効果をもたらすのかを見てみます。
図1は、吹田市民病院で呼吸リハビリを行っているCOPD患者さんを対象とした研究です。
注目されるのは、ノルディック・ウォーキングを行った患者さんは、通常歩行によるリハビリを行った患者さんに比べ、特に身体活動性(普段、どれだけ動いているか)が、大きく改善していることです。海外の研究でも、同様の結果が出ています(図2)。
近年、身体活動性が高いCOPD患者さんは、そうでない患者さんに比べQOL(生活の質)が高く、症状悪化による再入院率や死亡率も低くなることが明らかになり、COPDの治療・管理では身体活動性が重視されるようになっています。
図1は、吹田市民病院のCOPD患者さんのうち、呼吸リハビリでノルディック・ウォーキングをしている患者さんと通常歩行をしている患者さんについて、4つの指標の改善率を比較したものです。ノルディック・ウォーキングをしている患者さんは、通常歩行の患者さんに比べ、すべての指標で改善率が高く、特に身体活動性の改善率が大きく向上しています。
図2は、COPD患者さんで、ノルディック・ウォーキングをした患者さんと、しなかった患者さんで身体活動性がどのくらい違うかを比べた、外国のデータです。ノルディック・ウォーキングをした患者さんは、しなかった患者さんに比べ、1日のうち、歩いていたり立っていたりする時間が、座っていたり横になったりしている時間よりも長い、つまり身体活動性が高いという結果が出ています。