WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.52 2018年9月発行

小児ぜん息 その他のアレルギー医療トピックス:アトピー性皮膚炎のスキンケア

目に見えない炎症がなくなるまで治療を続ける

アトピー性皮膚炎の患者さんのなかには、かゆみや湿疹がおさまると、治療をやめてしまう方が多くいます。しかし、アトピー性皮膚炎治療の最終目標(注1)症状がないか、あっても軽微で日常生活に支障がなく、薬物療法もあまり必要としないことです。

この治療目標を達成するためには、「治療の三本柱」(下記参照)が基本になります。目に見えない皮膚の中の炎症が完全に治まるまで、根気よく治療を続けていくことが大切です。

(注1)
アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2015(協和企画)より

目に見える炎症がなくなっても治療の継続が大切

湿疹が出て皮膚の状態が悪いときは、目に見えない皮膚の中にも、炎症細胞がたくさん存在します。ステロイド外用薬を使った治療を続けていくと、皮膚のかゆみや赤みがなくなり、一見よくなったように見えます。しかし、皮膚の中には炎症細胞がまだ残っている状態です。ここで治療をやめずに、アトピー性皮膚炎の治療目標である皮膚の中の炎症細胞が完全にいなくなる状態になるまで、ステロイド外用薬と保湿剤による治療を根気よく続けることが大切です。

治療の三本柱

①薬物療法
ステロイド外用薬を適切に使用して、皮膚の中の炎症をおさえる
詳しくは、すこやかライフNo.47「医療トピックス」で取り上げています。
②スキンケア
石けんを泡立てて皮膚をていねいに洗い清潔にし、保湿剤を適量塗って皮膚を乾燥から守る
③悪化因子の対策
汗、よだれ、汚れなどへの対策、アレルギーの原因(ダニ、カビ、ペットなど)への対策を実行する
アレルギーの原因への対策については、すこやかライフNo.49「特集」で取り上げています。

バリア機能を強化する「スキンケア」

治療の三本柱のなかでも、皮膚のバリア機能の強化に重要な役割を果たすのが、「スキンケア」です。

バリア機能とは、外部のさまざまな異物が皮膚の中に侵入するのを防いだり、体内の水分の蒸発を防いだりする皮膚のはたらきのことです。

アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚は、「バリア機能」が低下しています。正しいスキンケアの方法(1.皮膚を清潔にする 2.保湿剤を適量塗る)を習得し、バリア機能を強化しましょう。

目に見えない炎症がなくなるまで治療を続ける
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