
すこやかライフNo.44 2014年10月発行
現場レポート:「隠れたCOPD」を見つけ出し「実感と納得」の 禁煙外来を実施
有澤総合病院の禁煙外来の特徴は、「隠れたCOPD」を見つけ出し、禁煙およびCOPD治療をセットで行うという点にあります。
禁煙外来は週に1回、予約制の枠がありますが、それ以外の一般外来でも、喫煙歴がありCOPDが疑われ、患者さんが希望する場合は、禁煙治療を開始します。
同院が保険適用の禁煙外来を始めたのは2006年のこと。担当する寺﨑由香先生は、循環器医として、狭心症や心筋梗塞のリスクを減らすという目的意識で禁煙外来を始めました。
そんな先生が、「隠れたCOPD」に着目したきっかけは、ある一人の患者さんとの出会いでした。
70歳代・男性のこの患者さんは、階段を上るときなどに胸の痛みを感じ、別の病院で狭心症と診断され治療・投薬を受けてきました。しかし、冠動脈の詳しい検査をしても問題は見つからず、途方に暮れて先生を訪ねてきたそうです。
先生は、1日40本/50年間という喫煙歴を踏まえ、呼吸機能検査と肺のCT撮影を行ったところ、明らかにCOPDの所見でした。そこで吸入薬(気管支拡張薬)を投与すると、早くも翌日には胸の痛みがなくなり、患者さんだけでなく先生自身も驚いたそうです。
「胸の痛み」と聞けば、医師ならまず狭心症を疑います。患者さんも心臓が悪いと思い込むでしょう。しかし本当の原因はCOPDだったのです。
この経験から寺﨑先生は、専門医に話を聞いたり文献を調べ、「一見COPDとは無関係と思われる訴えや病気の裏側に、COPDが隠れている症例が少なくない」事実に行き着いたのです。