WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.45 2015年3月発行

COPD現場レポート:COPDの症状を少しでも和らげ在宅の重症患者さんの暮らしを「つくる」

リハビリは軽負荷の運動と排痰法や呼吸法などが中心

COPDは薬などによる治療に加え、呼吸リハビリを継続することでQOLを保つことができます。それにもかかわらず、同クリニックがリハビリ科を開設した04年以前、盛岡地区には呼吸リハビリの実施施設はほとんどなく、病院で入院治療を終え自宅に戻ったCOPD 患者さんは、継続した呼吸リハビリを受けることが難しい状況でした。

そこで同クリニックの訪問呼吸リハビリは、こうした在宅のCOPD 患者さんを主な対象として始まりました。開始後しばらくは、軽症~中等症の患者さんが多かったのに対し、ここ数年は、重症の患者さんが増えてきたといいます。リハビリ科科長の中田隆文さんは、現状をこう分析します。「外来で呼吸リハビリを実施する施設が増えてきて、通院できる患者さんは、そちらで対応できるようになりました。その結果、通院の難しい重症患者さんが、当院に集中するようになったと思います」

対象者の重症化に伴い、リハビリの内容も筋力や体力の向上を目指すものから、軽負荷の運動と、排痰法や呼吸法などコンディショニング中心へと変わってきました(資料1参照)。

資料1 須藤内科クリニック 訪問呼吸リハビリプログラム

〈重症度に応じた3段階〉

軽い運動ができる場合

自宅の周囲など1日20分間ほどの歩行練習をする。スタッフは月2回程度訪問して、一緒に歩きながら歩数や速さ、息切れの様子をチェックする。

歩行練習が難しい場合

家の中でスタッフが付き添い、座ったり寝たままできる運動を実施(下記事参照)。

さらに重症度が高い場合

運動よりも、排痰法や呼吸法、呼吸介助などのコンディショニングを優先する。息切れをなくしていくことで、食事、睡眠、入浴、着替えといった日常動作を少しでもスムーズに行ってもらうことが、リハビリの主な目的になる。

  1. (注)呼吸リハビリについては、すこやかライフNo.42の「現場レポート」もご覧ください。

写真1
酸素ボンベを背負い、スタッフに付き添われて歩行練習している患者さん

訪問呼吸リハビリ現場からのアドバイス1

《重症COPD患者さんの身体活動》
歩行練習も難しくなったら座ったままできる運動を

立ったり座ったりの様子息切れが強くなると、歩行練習も難しくなります。

その場合、室内でできる軽い体操などのビデオやDVDを活用するのも良いでしょう。それすら難しい場合は、市販の器具を用いた足つぼマッサージ、青竹踏みを座ったままやってみてください。

それでも筋力アップの効果はあります。できることを少しずつで良いので、「続けられる運動」を試してみることが大切です。

  1. (注)座って運動することのメリット
    座ったり横になると、立っている時に比べ、体幹が安定するので、運動しやすくなります。また、立っていることで腹筋など呼吸に必要な筋肉が使われてしまいます。座ったり横になれば、そういった筋肉すべてを呼吸に使うことにでき、運動しやすくなるのです。

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