
すこやかライフNo.48 2016年9月発行
小児ぜん息の治療では、吸入薬だけでなく飲み薬が使われることがよくあります。また、ぜん息だけでなく、風邪をひいたときなど、子どもが薬と接する機会はたくさんあります。
病気の治療に薬は欠かせないものですが、「子どもが薬を飲んでくれない」「吸入をしてくれない」と困っている保護者の方は大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
実は、子どもが薬を嫌がる背景には、さまざまな原因が隠れています。その原因を見つけてうまく対応することで、子どもの薬嫌いを克服することができます。
そこで今回は、子どもが薬を嫌がる理由や、どうしたら嫌がらずに薬を飲んでくれるのかについて、すずらん調剤薬局管理薬剤師の上荷裕広先生にうかがいました。
1985年京都薬科大学卒業。日本チバガイギー(現ノバルティスファーマ)にてMRとして勤務。93年長尾調剤薬局(三重県伊賀市)にて勤務。95年すずらん調剤薬局(三重県亀山市)開局。現在に至る。
小児アレルギーエデュケーター、小児薬物療法認定薬剤師。
ぜん息であるということは決してうれしいことではありませんが、治療を続ける中で子どもと保護者の結びつきを強くすることができる、という大きなメリットがあると思っています。吸入や服薬ができたときには「がんばったね、できたね」とほめてあげることで、子どもに達成感を与え、自分はできるんだということを教えていける、いい機会だととらえてほ しいと思います。毎日服薬したり吸入したりすることは大変だと思いますが、続けていくことで、子どもはよりたくましく、自我や自立心をもって育っていくことができます。
また、悩みは決してひとりで抱え込まず、薬剤師でも、医師、看護師でも誰でもいいので、相談できる人を見つけてください。見つかるまでは大変かもしれませんが、話を聞いてくれる人は必ずいます。保護者と子どもで一緒に取り組む治療を見守ってくれる、サポートしてくれる人をひとり見つければ、治療がよりよく進むのではないかと思います。