WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.51 2018年3月発行

小児ぜん息 成人ぜん息 COPD医療トピックス:喫煙者だけでなく、 家族や周囲にも及ぶ!たばこの害

あらためて知る たばこの害

一昨年、厚生労働省は「喫煙の健康影響に関する検討会報告書(通称「たばこ白書」)」をとりまとめ、喫煙や受動喫煙と病気の関係をレベル1~4の4段階で評価しました。

たばこ白書では、喫煙や受動喫煙が、ぜん息とCOPDの発症や悪化に関係するといわれています(下記の喫煙、受動喫煙による健康への悪影響(たばこ白書より)を参照)。

ぜん息患者さんへの悪影響

ぜん息の発作だけでなく、発症にも関係します。

たばこを吸うことで…

  • 肺の機能が低下。発作も起こりやすくなり、重症化につながる
  • 吸入ステロイド薬の効果を弱め、治療効果が悪くなる

受動喫煙で…

  • 子どものぜん息の発症要因になる

    両親の喫煙で子どものぜん息発症が倍になるというデータがあります

  • ぜん息発作や悪化の原因になる

COPD患者さんへの悪影響

COPD発症のもっとも大きな原因が喫煙(患者さんの約90%に喫煙歴がある)。さらに発症後も喫煙を続けると、次のようなリスクが高まります。

肺がん発症のリスク

COPDによる肺がん発症のリスクに、喫煙によるリスクが加わります

合併症悪化のリスク

喫煙によって動脈硬化が進み、高血圧や糖尿病が悪化。さらには、心筋梗塞や脳梗塞の原因になります

喫煙、受動喫煙による健康への悪影響(たばこ白書より)

喫煙と病気の因果関係レベル

ここでは、因果関係が強いレベル1・2について解説します。

レベル1
喫煙との因果関係を推定するのに十分
レベル2
喫煙との因果関係を示唆する

喫煙者にとっての害

喫煙者が吸い込んでいるたばこの煙(主流煙)には、約70種類の発がん性物質を含む約5,300種類の化学物質が含まれています。また、たばこへの依存性を高めるニコチンによって、禁煙が困難になります。

レベル1と判定

がん
  • 鼻腔・副鼻腔がん
  • 口腔・咽頭がん
  • 喉頭がん
  • 食道がん
  • 肺がん
  • 肝臓がん
  • 胃がん
  • すい臓がん
  • 膀胱がん
  • 子宮頸がん
妊娠・出産
  • 早産
  • 低出生体重
  • 胎児発育遅延
その他
  • COPD
  • 呼吸機能低下
  • 脳卒中
  • ニコチン依存症
  • 歯周病
  • 結核(死亡)
  • 虚血性心疾患
  • 腹部大動脈瘤
  • 末梢性の動脈硬化
  • 2型糖尿病の発症

レベル2と判定

  • ぜん息の発症、増悪

受動喫煙による害

火がついたたばこから出る煙(副流煙)と喫煙者が吐き出す煙には、主流煙の数倍もの有害物質が含まれています。また、ぜん息との関連性も高いとされています。

レベル1と判定

大人
  • 脳卒中
  • 臭気、鼻への刺激感
  • 肺がん
  • 虚血性心疾患
妊娠・出産
  • 乳幼児突然死症候群(SIDS)
子ども
  • 学童期以前のぜん息の既往

レベル2と判定

大人
  • 急性呼吸器症状(ぜん息患者・健常者)
  • 急性の呼吸機能低下(ぜん息患者)
  • 慢性呼吸器症状
  • 呼吸機能低下
  • ぜん息の発症、コントロール悪化
  • COPD
子ども
  • ぜん息の重症化
  • ぜん息の発症(注)
  • 呼吸機能低下
  • 学童期のせき、たん、ぜん鳴、息切れ(注)
  • 中耳疾患
  • 虫歯
(注)
親の喫煙との関連

禁煙することでぜん息、COPDの悪化と、周囲の人のぜん息やCOPDの悪化や発症を防ぐことができます。

次ページから、楽にできる禁煙方法をご紹介します。ぜひご覧ください!

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