
すこやかライフNo.51 2018年3月発行
医療トピックス:喫煙者だけでなく、 家族や周囲にも及ぶ!たばこの害
受動喫煙の悪影響については、喫煙、受動喫煙による健康への悪影響(たばこ白書より)でお伝えしたとおりです。喫煙所などたばこの煙が見える場所には近づかない、分煙ではなく完全禁煙のお店を選ぶなどで、受動喫煙を避けることができます。
しかしそれだけでなく、目に見えない「サードハンド・スモーク(残留受動喫煙、三次喫煙)」への注意も必要です。
サードハンド・スモークとは、部屋の壁や喫煙者の服、髪の毛などに付いた、目に見えないガス状の有害成分のこと。たとえば、"ベランダでたばこを吸ったお父さんが部屋に戻ってくるとたばこのにおいがする""喫煙所から離れていてもたばこのにおいがする"。これだけでも、サードハンド・スモークの被害を受けているのです。
2020年の東京オリンピック開催に向け、たばこ対策の加速が期待されています。同時に、私たち一人ひとりがたばこの害をあらためて意識することが求められています。
最近、火を使わない加熱式たばこを吸う人が増えています。加熱式たばこは、紙巻きたばこに比べて健康への悪影響や受動喫煙の影響が少ないとうたわれていますが、さまざまな研究から、そうでないことがわかってきています。
2017年10月、日本呼吸器学会は「非燃焼・加熱式たばこ(注1)や電子たばこ(注2)に対する見解」を以下のように述べています。
現在、日本で販売されている加熱式たばこには、すべてニコチンが含まれています。加熱式たばこに替えても、ニコチン依存は軽減しません。また、加熱式たばこを使用し続けることで病気や死亡のリスクが今後どれほど高まるのか、明らかになるまでにはかなりの時間を要します。現時点で「健康への悪影響が少ない」といわれているのは、推測にすぎません。
加熱式たばこであっても、吸う人が有害物質を取り込んでいること、周囲にも有害物質が広がっている可能性は高いようです。においが少なく、吐き出す煙が見えにくいため、受動喫煙に気づきにくいことも懸念されています。「加熱式たばこに変えたから健康」という考え方は、幻想のようです。健康のため、ぜん息、COPDの悪化を防ぐためには、禁煙が第一です。