WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

小児ぜん息 成人ぜん息すこやかライフNo.53 2019年3月発行

特集

進歩するぜん息治療―患者さんがぜん息治療の主役に―

かつて、ぜん息は有効な治療法がなく、発作によって死に至ることもある病気と考えられていました。しかし、さまざまな薬や治療法の登場により、近年では重症なぜん息患者さんでもぜん息をコントロールし、症状なく過ごせるようになってきました。

今回は、進歩するぜん息治療について、帝京大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー学 教授の長瀬洋之先生と、福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科 科長の手塚純一郎先生にお話をうかがいました。

より詳しくは、次のメニューからご覧ください

お話をうかがった先生

帝京大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー学 教授 長瀬 洋之(ながせ・ひろゆき)先生

長瀬洋之先生

プロフィール

1994年東京大学医学部医学科卒業。96年東京大学物療内科、2002年医学博士、03年帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学、16年6月から現職。日本アレルギー学会 気管支喘息ガイドライン専門部会作成委員。

読者へのメッセージ

ぜん息の調子がよくても、軽い発作が起きるだけで気道のリモデリングが起こることがわかってきました。私たちは、リモデリングが起こらないよう、ふだん調子がよくてもしっかり治療を続けてくださいとお伝えしています。また、治療がうまくいっていれば、薬を減らしていきたいと考えて治療にあたっています。

現在の症状をなくすことと同時に、将来にわたってぜん息で困らないという観点から、日々の治療目標を私たち医師と共有して、できれば、気道の様子を数字でみる呼吸機能検査を定期的に受けていただき、最小限の治療でベストな効果を得られるよう、一緒にがんばっていきましょう。

福岡市立こども病院 アレルギー・呼吸器科 科長 手塚 純一郎(てづか・じゅんいちろう)先生

手塚純一郎先生

プロフィール

1998年九州大学医学部卒業。同年5月から九州大学病院小児科。99年福岡市立こども病院・感染症センター、2000年北九州市立医療センター、01年九州大学病院小児科、02年国立療養所南福岡病院小児科、08年国立病院機構福岡病院臨床研究部呼吸生理研究室長、09年国立病院機構福岡東医療センター小児科医長を経て15年から福岡市立こども病院総合診療科勤務。15年8月から現職。

読者へのメッセージ

小児ぜん息は、子どもが小さいうちは保護者が治療の主人公ですが、病気の主人公はあくまでも子ども自身です。子どもがぜん息を「自分のこと」として理解することが、治療の継続につながります。これだけ治療がよくなってきて症状を予防できる手段があるのに、症状が出ているのは大変もったいない状況です。

今の状態をあきらめない、あたりまえと思わないことが大切です。ガイドラインに基づいた「標準治療」があることを知って、お医者さんに任せるだけではなく、患者さん自身も勉強しながら知識をアップデートして、ぜん息のせいで将来、困ったことや不利益を被らなくてもいいように、対策をとっていきましょう。

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