WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.53 2019年3月発行

小児ぜん息 成人ぜん息特集:進歩するぜん息治療―患者さんがぜん息治療の主役に―

自己管理するためのチェックポイント①

チェックポイント① 医師の指示どおり、毎日服薬を続けていますか?

薬によって、せきや発作などの症状が治まると、「ぜん息が治ったかな?」と思って服薬をやめてしまっていませんか?しかし、症状がなくても気道の炎症は続いています。このまま薬をやめてしまうと、症状がどんどん悪化するだけでなく、やがて気道が狭い状態のまま元に戻らなくなる「リモデリング」が起こり、ぜん息が重症化してしまいます

ぜん息のメカニズム

健康な人の気管支

健康な人の気管支は、平滑筋や粘膜上皮に問題がなく、気道に十分な広さが確保されています。

長期管理薬を継続すると

ぜん息の人の気管支

ぜん息の人の気道には、慢性的に炎症が起こっています。

ぜん息の人の気管支は、平滑筋が厚くなり、粘膜上皮がむくんで気道が狭くなる

長期管理薬を継続すると

気道の炎症が治まり、発作もなく健康な人と変わらない生活を送ることができる。

治療せずに放置したり、治療を中断したりしてしまうと

ぜん息の人の気管支

ぜん息の人の気道には、慢性的に炎症が起こっています。

ぜん息の人の気管支は、平滑筋が厚くなり、粘膜上皮がむくんで気道が狭くなる

発作時の気管支

発作時の気管支は、さらに気道が狭くなる

ダニやカビ、ほこり、冷たい空気などを吸い込むと、気道が過敏に反応し、せきやたんの症状や、呼吸困難を伴うぜん息発作が起こります。

治療せずに放置したり、治療を中断したりしてしまうと

炎症が長期に続き、気道が硬く厚くなって(線維化)、ケガをした後に傷跡が残ってしまうように、気道が狭い状態のまま元に戻らなくなる「リモデリング」が起こります。リモデリングの起こった気道は、吸入ステロイド薬が効きにくくなってしまいます。

リモデリングが起こった気管支

基底膜が肥厚し、平滑筋が肥大し、気道壁が肥厚する。気道が狭い状態のまま元に戻らなくなる。

ぜん息が重症化してしまう

軽い発作であっても、気道が収縮するたびにリモデリングが進むおそれがあります。リモデリングを防ぐためにも、医師の指示どおりに症状が治まっても治療を継続しましょう。

さらに近年、子どものころのぜん息が重症であればあるほど、大人になってからもぜん息である率が高く、呼吸機能が早く低下するおそれがある、ということもわかってきました。将来にわたって、ぜん息のために生活が制限されてしまったり、困ったりすることがないように、治療を継続してぜん息を重症化させず、症状のない状態を保つことが重要です。

服薬を続けるための工夫

  • カレンダーに印をつける、ぜん息日記をつける
  • 同じ時間・場所・状況で吸入する
    • 洗顔、歯磨き前、食事の前、起床時など

おもなぜん息の治療薬

現在は、ぜん息の治療ガイドラインに沿って、気道の炎症を抑える「吸入ステロイド薬」を中心とした「長期管理薬」と、発作が起こったときだけ使う「発作治療薬」による治療が行われています。

長期管理薬

  • 気道の炎症を抑えたり、気道を広げたりして発作を予防します。
  • 症状がなくても医師の指示どおりに継続して使用します。
炎症を改善する働きのある薬 吸入ステロイド薬 吸入薬
ロイコトリエン受容体拮抗薬 飲み薬
気道を広げる働きのある薬 長時間作用性β2刺激薬 吸入薬
長時間作用性抗コリン薬 吸入薬
炎症を改善+
気道を広げる働きのある薬
吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の配合剤 吸入薬
テオフィリン徐放製剤 飲み薬
ぜん息の症状全般を抑える
重症ぜん息を治療する新しい薬
重症ぜん息の新しい治療参照)
抗IgE抗体 注射薬
抗IL-5抗体 注射薬
抗IL-5受容体α抗体 注射薬

発作治療薬

  • 気道を速やかに広げて呼吸を楽にします。
  • 発作が起こったときだけ使用します。
  • 短時間作用性β2刺激薬 吸入薬
自己管理するためのチェックポイント①
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