WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.53 2019年3月発行

小児ぜん息 成人ぜん息 その他のアレルギー医療トピックス:ぜん息に影響する鼻の病気―アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎―

鼻の症状が続いていませんか?

くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの鼻の症状とぜん息は、関係がないように思われがちですが、ぜん息患者さんは高い確率でアレルギー性鼻炎などの鼻の病気を合併することがあります。鼻の病気を合併していると、ぜん息症状がひどくなったり、ぜん息の重症化を招くことが知られているため、注意が必要です。逆に、鼻の病気を治療することで、ぜん息の状態がよくなることがわかっています。そのため、両方の治療を同時に進めていくことが大切です。

ぜん息と合併しやすい鼻の病気は、「アレルギー性鼻炎」と「副鼻腔炎」です。

アレルギーが原因で起こるぜん息を「アトピー型ぜん息」といいますが、小児ぜん息の約9割、成人ぜん息の約6割がアトピー型ぜん息です。そのため、ぜん息患者さんは、アレルギーによって起こる「アレルギー性鼻炎」を高い確率で合併します。下のグラフのとおり、アレルギー性鼻炎の患者さんは年々、増加しています。そのため、鼻の症状がある方は、注意が必要です。また、副鼻腔に炎症が起こる「副鼻腔炎」も、小児、成人を問わず、ぜん息患者さんによくみられます。

次のページ以降で、「アレルギー性鼻炎」「副鼻腔炎」について、詳しくみていきます。

アレルギー性鼻炎の有病率の変化
鼻アレルギー診療ガイドライン2016のデータでは、1998年と2008年のアレルギー性鼻炎の有病率を比べると、季節性アレルギー性鼻炎、通年性アレルギー性鼻炎ともに増加しています。

ぜん息と鼻の病気はなぜ影響し合うの?

私たちは、呼吸によって酸素を取り入れ、二酸化炭素を排出します。このとき、空気が通る道を「気道」と呼びます。気道は、鼻からのど、気管の入り口までを指す上気道と、気管、気管支、肺の先端までを指す下気道に分けられます。ぜん息は下気道の炎症が原因で起こる病気で、鼻炎は上気道の炎症が原因で起こる病気です。このように、ぜん息と鼻の病気は、同じ気道の中で起こっているため影響し合うと考えられています。近年では、気道全体をひとつの器官ととらえて、気道で起こっている病気は総合的に診察することが大切であるという考え方が広まっています。

ぜん息と鼻の病気は気道で起こる病気です

上気道の炎症で起こる鼻の病気

下気道の炎症で起こる病気

  • ぜん息
  • 気管支炎

専門医のもとで総合的な治療を

ぜん息治療を継続しているのになかなかぜん息をコントロールできない場合には、くしゃみや鼻水など鼻の症状が出ていないか、鼻の病気が悪化していないか、鼻の状態に目を向け、医師に伝えましょう。アトピー型ぜん息とアレルギー性鼻炎を合併しているような場合は、アレルギー専門医のもとで両方の病気を総合的に診てもらうことが理想的です。

ぜん息は内科や小児科、鼻の病気は耳鼻科に通っているというような場合には、薬が重複して副作用を起こすおそれなどもあります。内科には鼻の病気があること、耳鼻科にはぜん息があることを伝え、薬が重複していないかなど、医師に確認してもらいましょう。

コラム 自分でできるふだんからの鼻のケア

がまんせず鼻をかみ、刺激を避ける

鼻の病気があると鼻の通りが悪くなって“口呼吸”になりがちです。しかし、口呼吸は、冷たく乾いた空気や煙などの刺激を吸い込みやすくなり、ぜん息発作の原因になります。また、空気中のほこりなどが鼻でトラップされずに下気道に到達してしまうことで、ぜん息が悪化するおそれもあります。がまんせずに鼻をかんだり、マスクを着用するなどして、アレルゲンを含む各種の刺激を避けることも心がけましょう。

鼻洗いでアレルゲンを取り除く

生理食塩水を使って鼻の中を流す「鼻洗い(鼻うがい)」は、鼻水を流したり、鼻の中のアレルゲンを取り除いたりするため、鼻炎の症状を和らげる効果があるという研究結果があります。

さまざまな道具が市販されていますが、まずは、やり方などを医師や看護師に相談してみましょう。

鼻の症状が続いていませんか?
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