WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.53 2019年3月発行

小児ぜん息  成人ぜん息 その他のアレルギー医療トピックス:ぜん息に影響する鼻の病気 アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎

①アレルギー性鼻炎 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)

日本で花粉症の原因となるのは、スギ花粉がもっとも多く、そのほかヒノキ、ブタクサ、ヨモギなどさまざまです。2016年に東京都が行った調査(注1)では、都内におけるスギ花粉症有病率が48.8%と推定されるなど、地域差はあるものの花粉症患者さんは年々増加しています。また、これまで花粉症は10~20歳代で発症することが多いとされていましたが、近年では低年齢化がすすみ、5歳未満での発症も多くなっています。

(注1)2016年に東京都が行った調査
2016年花粉症実態調査 東京都
季節ごとの花粉
冬~春の花粉 春~夏の花粉 秋の花粉
  • スギ
  • ヒノキ
  • ハンノキ
  • シラカンバ
  • カモガヤ
  • オオアワガエリ
  • カモガヤ
  • オオアワガエリ
  • ブタクサ
  • ヨモギ
  • カナムグラ

症状

  • くしゃみ
  • 水のような鼻水
  • 鼻づまり
  • 目のかゆみ、充血
    など

治療

薬物治療

通年性アレルギー性鼻炎と同様に、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状を抑える薬による治療が行われます。花粉症の場合、目のかゆみなどアレルギー性結膜炎の症状が現れることがあり、目薬が処方されることもあります。

スギ花粉症に対するアレルゲン免疫療法

スギに対するアレルギー体質を根本から治療する方法です。詳しくはアレルギー体質を改善するアレルゲン免疫療法をご参照ください。

自分でできる対策

花粉を避ける

家の外で花粉を吸入しない、家の中に花粉を持ち込まない工夫を心がけましょう。また、花粉の飛散時期はできるだけ外出を控えることも必要です。


外出するときには、マスク、メガネやゴーグルを着ける


花粉が付着しにくいツルツルした素材の洋服を着る


花粉の時期は窓を閉めておく。換気は短時間にとどめる


家に入る前に、衣類についた花粉を払い、室内に持ち込まない

など

アレルギー体質を改善するアレルゲン免疫療法

アレルゲン免疫療法とは、体のアレルゲンに対する反応(免疫反応)を変えることで、体に免疫力をつけてアレルギー反応を起こしにくくする、アレルギーを根本から治す可能性のある治療法です。

アレルゲン免疫療法によって、花粉症やぜん息などの症状が長期にわたって抑えられたり、いま使用している花粉症やぜん息の薬が減ったり、新たなアレルギー疾患になることを防ぐ効果もあるとされていますが、下記のような注意点も多くあります。

アレルギー専門医のもと、十分な説明を受けたうえで治療に臨みましょう。

アレルゲン免疫療法の対象と方法

対象

  • 花粉症の原因が「スギ花粉」であることが明らかな患者さん(「スギ花粉」に対するアレルゲン免疫療法の場合)
  • ぜん息(注2)もしくはアレルギー性鼻炎の原因が「ダニ」であることが明らかな患者さん(「ダニ」に対するアレルゲン免疫療法の場合)

方法

皮下免疫療法
  • アレルゲンエキスを皮下に注射します。
  • 5歳以上の患者さんが対象です。
舌下免疫療法
  • 舌の下にエキスをたらしたり、錠剤を入れたりします。
  • 錠剤を使用する場合は、医師に舌下投与が可能と判断されれば通常は5歳から(注3)、エキスを使用する場合は、12歳以上が対象です。
(注2)ぜん息でアレルゲン免疫療法の対象者
ぜん息治療の場合は、現在のところ皮下免疫療法のみが保険適用です。ただし、鼻炎が合併している場合には、舌下免疫療法で同時に治療できることがありますので、アレルギー専門医にご相談ください。
(注3)舌下投与が可能とされるのは5歳から
乳児または5歳未満の幼児に対する安全性は確立していません。また、適切に舌下投与できると判断された場合にのみ行われます。

アレルゲン免疫療法を受ける前に知っておきたいこと

  • 花粉症やぜん息の原因が、何のアレルゲンによるものかの確認が大切です。必ずアレルゲンを調べたうえで、治療を開始します。
  • すべての患者さんに効果があるわけではありません。アレルゲンが複数ある場合には、効果が出にくいことがあります。
  • 治療には長期間(3~5年)かかり、すぐに効果が現れるわけではありません。
  • アレルゲンを投与するため、注射部位の腫れや、口の中の違和感などの副作用が比較的高い確率でみられます。また、ごくまれに重篤な副作用が起こることがあります。

アレルゲン免疫療法について詳しくは、すこやかライフ46号 医療トピックス 「アレルゲン免疫療法」を知るからもご覧ください。

①アレルギー性鼻炎 季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)
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