食物アレルギーの子どものための みんなで食べるおいしいレシピ~ぜん息予防のために~卵・乳・小麦不使用!

食物アレルギーの子どものための  食事の基礎知識

1.食事療法の基本

食事療法(注1)は、食物アレルギーの症状が出ないようにする治療の中でもっとも中心的なものです。ここでは、日々の食事づくりに深く関係する食事療法について解説していきます。

まず、食事療法の基本は、以下の4点にまとめられます。

食事療法の基本

  1. 1正しいアレルゲン診断(注2)に基づいた必要最小限の除去にしましょう
    食事療法の前提は、原因食物を用いないで調理する「アレルゲン除去食」ですが、その除去は必要最小限にすることが基本です。
  2. 2アレルゲン除去によって不足する栄養素をきちんと補いましょう
    「アレルゲン除去食」のために不足する栄養素をほかの食品で補ったり、原因食物の低アレルゲン化や低アレルゲン化食品を利用したりすることで、豊かな食生活が可能です。
  3. 3原因食物の除去がいつまで必要か専門医に確認し、定期的に見直しましょう
    成長に伴う耐性の獲得(参照「基本 3」)を踏まえ、適切な時期に除去解除していくために、定期的に専門医に相談しましょう。
  4. 4誤食を起こさないよう注意しましょう
    食物アレルギーに対する家族の理解と正しい対処が大切です。また、保育所、幼稚園・学校でのアレルギー対応への協力、生活管理指導表を通した情報共有や、加工食品のアレルギー表示に注意しましょう。

基本 1  正しいアレルゲン診断に基づいた必要最小限の除去にしましょう

食物アレルギーを発症しやすい乳幼児期は成長期でもあるため、食事療法を進めるに当たっては、栄養面とQOL(生活の質)への配慮は欠かせません。その前提となるのが、正しいアレルゲン診断に基づく必要最小限の除去です。

必要最小限の除去の考え方

症状が出る食物だけを除去する

食事療法で除去しなければならないのは、あくまでも「食べるとアレルギー症状が出る」食物だけです。

症状が出たかどうか疑わしい、あるいは血液検査や皮膚試験で陽性だったという理由だけで、その食物を完全に除去する必要がない場合もあります(アレルギー反応の出やすさを見る血液検査・皮膚試験では、実際に症状が出るかどうかは正確にはわかりません。陽性でも症状が出ないことがあります)

原因食物でも"食べられる範囲"までは食べる

症状が出る原因食物であっても、加熱・加工によって症状なく食べられるものや、少量なら食べられることもあります。

そして、こうした"食べられる範囲"は、多くの場合、成長とともに広がっていきます。ただ、その範囲を保護者の自己判断で決めてはいけません。家庭で食べている加工食品や料理を詳しく専門医に伝えて、評価してもらいましょう。正確に判断するためには食物経口負荷試験(参照「負荷試験について」)が必要です。


基本 2  アレルゲン除去によって不足する栄養素をきちんと補いましょう

「アレルゲン除去食」によって不足する栄養素が出てくるため、その分をほかの食品で代替する必要があります。また、原因食物であっても調理によって低アレルゲン化を図ったり、低アレルゲン化された食品を使ったりすることによって、栄養面にも配慮した豊かな食生活を送ることができます。

ほかの食品による代替

ほかの食品による代替のしやすさは、原因食物によって異なります。

例えば牛乳除去でカルシウムを補う場合は、カルシウムを豊富に含む食品を意識してとる必要があります。一方、小麦除去の場合のように、種々の食品での代替をとくに考える必要のない(小麦は主食を米飯にするだけでよい)食物もあります。原因食物の代替について詳しくは「原因食物別 除去のポイント」(参照「原因食物別  除去のポイント  牛乳 小麦 その他」)をご覧ください。

正しいアレルゲン診断に基づく必要最小限の除去と適切な代替を行い、できるだけ多彩な食事をとることは、食物アレルギー児の栄養面だけでなく、QOLや食育の面からも、非常に重要なことといえます。

調理による低アレルゲン化

食品によっては、加熱調理によってアレルゲン性が低下するものもあります。とくに卵は加熱することによりアレルゲン性が低下します。牛乳や小麦のアレルゲンは、加熱による影響をあまり受けません(参照「原因食物別  除去のポイント  牛乳 小麦」)。

低アレルゲン化食品の利用

牛乳アレルギー児には、牛乳中のアレルゲンであるカゼインや乳清由来タンパク質を、加水分解したり除去したりしてつくられた牛乳アレルゲン除去調製粉乳(牛乳アレルギー用ミルク)や、大豆乳が利用できます(参照「原因食物別  除去のポイント 牛乳」)。

そのほか、発酵や高温高圧加工など製造過程によって低アレルゲン化した食品は、食べられる場合があります。
また、食べられる量を経口負荷試験で見極めて、それを超えない範囲で食べられることもあります。定期的に通院し、専門医や栄養士の指導を受けましょう。


基本 3  原因食物の除去がいつまで必要か専門医に確認し、定期的に見直しましょう

原因食物を除去した状態に慣れると、いつまでも保護者の判断で除去を続けがちですが、成長に伴い免疫の働きが発達し、原因食物だったものでも症状を起こさずに食べられる量が増える、あるいは普通に食べられるようになることもあります(これを耐性の獲得といいます)。そこで定期的に専門医の指導を受け、1歳過ぎからは除去解除、あるいは症状を起こさずに食べられる量を決定する食物経口負荷試験を受けることが望まれます。

負荷試験は、食物アレルギーに精通した専門医の下で行われる試験です。また医師の判断により以下のような場合に実施されます。

1. 耐性の獲得が期待されるとき

症状が消えたり、軽くなった場合に、「耐性が獲得できているかを確かめるため」に実施します。食事の記録から原因食物をとっていることが後からわかったり、間違って食べて症状が出なかったりしたときも、同じ理由で実施します。

2. 安全に食べることができる範囲を決定するとき

原因食物について、「同年代の子が食べている量(普通量)をとることができるかどうか」を確認するのが、負荷試験の本来の目的です。

しかし重症例では、普通量よりも少ない量でも食べられる量を決定するために行うこともあります。

3. 除去の必要性を再確認する必要があるとき

入園、入学で集団生活に入る前に、除去を続ける必要性や、食べられる量を決定するために、負荷試験を行うことがあります。

食事療法を継続している途中で、症状が悪化したり再燃したりしたときは、除去しているアレルゲン以外の食品が原因となっていることがあります。この場合も原因を明らかにするため、実施されることもあります。


基本 4  誤食を起こさないよう注意しましょう

家族の理解と協力が必要

誤食がもっとも起こりやすいのが、家庭での食事です。誤食を防ぐためには、家族の理解と協力が必要です。

保育所、幼稚園・学校との情報共有(注3)

保育所と幼稚園・学校に向けては、食物アレルギーを含めたアレルギー疾患に対する取り組みを示したガイドラインが発行されています。ガイドラインでは、医師の診断に基づく「生活管理指導表」の運用と、食物アレルギー児への適切な給食対応が求められています。

食物アレルギー児の保護者の方々は、子どもの入園・入学の際、生活管理指導表を提出することをはじめ、保育所および幼稚園・学校と情報共有していくことが重要です。

加工食品購入の際は、必ずアレルギー表示のチェックを

加工食品により食物アレルギー症状を起こす事故を防ぐため、市販されている加工食品には、原材料として使用したアレルゲンを表示することが定められています。

家庭で安全な除去食をつくるうえで、加工食品を購入する際、このアレルギー表示をチェックすることが欠かせません。【解説】加工食品のアレルギー表示の読み方で、その読み方を示しましたので、ぜひ覚えておいてください。



目次

このページの先頭へ