![WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌](../../../../../common/img/yobou/zensoku/sukoyaka/main_visual.jpg)
すこやかライフNo.50 2017年10月発行
特集:「ぜん息・COPD Q&A」
ステロイド薬の正式名称は、「副腎皮質ステロイド薬」といい、その名のとおり、もともとは人体にある副腎という臓器から少量分泌されているホルモンです。
炎症を抑えるうえでもっとも強力な作用を持ち、正しく使えばとてもよい薬で、約70年前から使用されています。しかし、このステロイド薬を経口や注射などによる投与法(全身投与といいます)で長期間使用すると、さまざまな副作用(高血圧、糖尿病、骨粗しょう症、胃潰瘍、感染症など)が生じることがあります。
この副作用のリスクを減らす工夫を施された薬が、現在のぜん息治療の中心となっている「吸入ステロイド薬」です。毎日継続して長い年月使用することを考え、少ない量を、吸入という方法で肺に直接届けることで、重い副作用がかなり抑えられるようになっています。
この吸入ステロイド薬の普及によって、ぜん息死やぜん息発作による入院は減少しました。
吸入ステロイド薬の副作用としては、口の中に残ると粘膜の免疫を抑制してしまい、カンジダというカビの一種が増えることがあります。
それを防ぐために、吸入後には必ずうがいをしてください。「ガラガラ」うがいが難しい乳幼児やお年寄りは、「ブクブク」して飲み込んでしまっても効果はあります。
それでも、患者さんによっては、声がれなどが出ることもあります。その場合も、吸入ステロイド薬の使用をあきらめるのではなく、薬剤の種類を変えることによって対処できる場合が多くあります。
最近の調査によって、吸入ステロイド薬が小児の成長を抑制する危険性が改めて指摘されています。したがって日本小児アレルギー学会では、効果だけでなく副作用を十分に考慮したうえでの使用を医師に呼びかけています。とはいえ吸入ステロイド薬には、ぜん息発作を予防する高い効果があります。ぜん息を長引かせたり、重症化させたりすることは大きな問題です。そこで、使用する場合はしっかりと使用し、ぜん息を早めに落ち着いた状態にすることが重要です。納得できる治療が受けられるよう、不安なときは医師に疑問をぶつけ、きちんと説明を受けましょう。