すこやかライフNo.50 2017年10月発行
特集:「ぜん息・COPD Q&A」
日本では、COPD(慢性閉塞性肺疾患)の原因の9割以上がたばこです。たばこを吸う人がいなくなれば、COPDになる人はほぼ、いなくなります。呼吸機能は加齢に伴い、誰しも低下していくものですが、たばこの煙は肺胞を破壊し、そのスピードをいっそう加速させます。
たばこをやめたからといって、こわれた肺の機能は元には戻りませんが、若干は改善するといわれています。また、せきやたんなど、COPDの不快な症状は禁煙すると同時に、消えていきます。できれば症状が出ないうちに禁煙することが望まれます。
禁煙にあたっては、禁煙補助剤(ニコチンパッチやニコチンガム)や、医療機関の禁煙外来を活用しましょう。自力で禁煙する場合に比べて「比較的楽に」「より確実に」そして「あまりお金をかけずに」禁煙することができます。健康保険による禁煙治療の条件(下記参照)を満たす場合は、医療機関の利用をお勧めします。健康保険で禁煙治療が受けられる医療機関は、日本禁煙学会のホームページで検索できます。
ニコチンガムとニコチンパッチは薬局・薬店で購入可能。バレニクリンと医療用ニコチンパッチは、医師の処方が必要です。
過去に治療を受けたことがある方は、前回の治療の初回診療日から1年以上経過していることが条件に加わります。
自治体でも禁煙相談や禁煙講座などを開催しています。また、自治体によって、禁煙治療のための費用助成制度を設けている場合もあります。お住いの自治体の制度や事業をご確認のうえ、活用しましょう。
たばこがやめられない理由は、「ニコチン依存」があるからです。ただ単に「体に悪いから、病気を悪化させるから」という理由では、この強い依存はなかなか克服できません。喫煙を続けることで、たばこに含まれるニコチンが脳のセロトニンとドーパミンのバランスを崩し、たばこが切れるとイライラする、集中できない、無性にたばこが吸いたい、といった禁断症状を引き起こします。たばこを吸うとこれらの禁断症状が消えるので、「気分が落ち着く」「ホッとする」と感じ、たばこの効用と誤解してしまうのです。しかしこれが「ニコチン依存」の症状そのものであることをぜひ、知っておいてください。
一般的に、たばこを吸いたくなる欲求が続く時間は、5分から10分程度といわれています。
その間に、何か気を紛らわせる行動をとることがお勧めです。