すこやかライフNo.50 2017年10月発行
特集:「ぜん息・COPD Q&A」
アレルギー体質は遺伝するといわれているため、ぜん息の遺伝を心配される方が多いと思います。しかし、卵アレルギーの子どもの親が卵アレルギーとは限らないように、「アレルギー体質の遺伝」とアレルギーによって起こる「疾患の遺伝」は、必ずしも一致しません。親がぜん息だから子どもも必ずぜん息になるというわけではありません。
ぜん息は「遺伝因子」と「環境因子」の複雑な相互作用で発症するといわれています。遺伝因子については、近年研究が進み関連遺伝子領域が次々と報告されていますが、まだ解析の途中です。環境因子とは、ダニやほこりなどさまざまなアレルゲンやウイルス、細菌などの微生物、大気汚染物質などのことで、多岐にわたっています。
遺伝因子を持っていたとしても、生まれた後の環境にも左右されるため、「遺伝する」=「ぜん息を発症する」と単純に予測することは誰にもできず、また、絶対に発症しないと保証することも残念ながらできません。
万が一ぜん息になったとしても、治療法が進歩している現在は、症状が長引かなければ、また、重症化しなければ健康な人と変わらない生活を送ることができます。軽いせきでもちょっと長く続くかなと思ったり、呼吸困難を伴うようなせきやぜん鳴が1回でも出るようであれば、信頼できる医療機関を早めに受診してください。
日本アレルギー学会では、ぜん息などのアレルギー疾患に強い関心と専門知識を持ち、高い水準でアレルギー疾患の診療を行う能力のある医師を「アレルギー専門医」として認定しています。
日本アレルギー学会のホームページから、専門医のいるお近くの病院を検索することができます。