ぜん息などの情報館

【知識編】栄養療法が大切な理由

COPD になるとどうしてやせるのでしょうか?

日本のCOPD 患者さんにやせ型の方が多いのは、さまざまな理由で栄養障害が起きているためです。

    [やせ型が多い理由]
  • ・肺がうまく換気できずに呼吸筋の仕事量が増加する
  • ・食事量が低下する
  • ・胃腸の働きが低下する
  • ・抑うつ状態になる
  • ・動かないことにより筋肉が萎縮する
  • ・食事時の呼吸の乱れや誤えんなどのために食欲が低下する

やせるのはどうしていけないのでしょうか?

COPD 患者さんは体重が減ると生命予後が悪い(余命が短くなる)ことが報告されています。こうしたことからCOPD 患者さんには、栄養がとても大切であると考えられてきています。

 COPD 患者の 標準体重比と生存率 海外では、やせている人(標準体重の90%未満)は、そうでない人に比べ、3年後の生存率が30%以上低下すると報告されています。

肺だけではないCOPD の影響

近年、COPD は肺だけに限定した疾患ではなく、肺に生じた炎症が全身に及ぶ、いわゆる全身性炎症性疾患であることがわかりました。このことが栄養障害にも大きくかかわっていると考えられています。

全身性炎症 抑うつ・不安感摂食障害など 消化管機能の低下胃十二指腸潰瘍食欲不振など 肺への空気の流れが悪くなる(気流閉塞) 運動量低下により使わない筋肉が萎縮

悪循環を起こさないために

COPD 患者さんが、栄養障害によりやせてしまうと、呼吸筋や下肢筋などの筋力が低下します。

筋力が低下すると、動くだけで息切れや倦怠感が増加し、体を動かしたくなくなります。その結果、活動量が低下して家にとじこもりがちになってしまい、さらに食欲が低下します。

COPD では、このような「食欲が減る→やせる→息切れがする→動かなくなる→食欲が減る」という悪循環に陥らないようにすることが重要になります。

悪循環 やせ栄養低下→呼吸筋などの筋力低下→息切れ→呼吸筋の酷使→活動量低下→食欲低下エネルギー不足→

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