令和7年度新技術説明会
<環境研究総合推進費における研究成果の社会実装支援>
環境研究総合推進費(以下「推進費」という。)は、研究成果や技術開発の成果を社会に還元し、環境問題の解決につなげる「社会実装」を支援しています。
「社会実装」を進めるには、推進費を活用して生み出された研究成果や技術開発の成果を、広く世の中に伝えること、特に、企業等に積極的に紹介し、関心を持ってもらうことが大切になってきます。関心を持つ企業と研究者に接点が生まれれば、共同研究に進み、研究室レベルからスケールアップして、成果が社会に組み込まれていく可能性が出てくるからです。
<企業と研究者のマッチングの場としての新技術説明会>
毎年、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)によって開催される「新技術説明会」は、研究課題と企業とのマッチングの場として注目されています。推進費でも「環境研究・技術開発(ERCA) 新技術説明会」と題して、JSTとの共催でオンライン開催しています。
「新技術説明会」は、大学、高等専門学校、国立研究開発法人等の公的研究機関から生まれた研究成果(特許)の実用化(技術移転)を目的に、新技術や産学連携に関心のある企業関係者に向けて、研究者自らが直接プレゼンする特許の説明会となっています。
<4つの研究課題を発表>
今回、推進費で成果を上げた4機関(研究者)が、特許技術について発表いたします。社会での実用化を視野に研究開発を進める課題から、若手研究者による新規性・独創性・革新性のある課題まで、多彩な発表内容となっています。
各課題の発表後には、「質問・相談ルーム」(オンライン)にて、研究者と意見交換をすることができますので、目に留まる課題があれば、特許の利用や共同研究の可能性を含めて、具体的な話をすることができます。
環境研究・技術開発による特許技術に興味・関心のある方は、ふるってご参加ください。
- 日時:2026年1月15日(木) 9:55~11:55
- 開催形態:オンライン開催
- 主催:国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)
- 共催:独立行政法人 環境再生保全機構(ERCA)、大阪大学、東京大学、東北大学、国立環境研究所
- 参加費:無料
-
イベントURL:https://shingi.jst.go.jp/list/list_2025/2025_erca.html(外部リンク)
プログラム
| ■開会 | |
|---|---|
| 9:55~10:00 | 開会挨拶 環境再生保全機構 上席審議役 兼 環境研究総合推進部長 東條 純士 |
| ■発表 | |
| 10:00~10:25 |
電気化学的資源化反応特性を向上する電極ー電解液の統合設計 大阪大学 産業科学研究所 エネルギー・環境材料研究分野 准教授 片山 祐 |
| 10:30~10:55 |
高機能化したゼオライトでCO2を回収、変換 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 環境システム学専攻 准教授 伊與木 健太 |
| 11:00~11:25 |
廃水中の硝酸イオンからアンモニア製造が可能な電解還元技術 東北大学 大学院理学研究科 多元物質科学研究所 准教授 川脇 徳久 |
| 11:30~11:55 |
ウズラ受精卵(胚)を卵殻無しで複数同時に培養する方法 国立環境研究所 環境リスク・健康領域 環境リスク科学研究推進室 主幹研究員 川嶋 貴治 |
※発表と発表の間は5分間の休憩となります。
※各発表の後、質問・相談ルーム(オンライン)を開設。より詳細な話を聞きたい方や、質問がある方はぜひお越しください。
ワンポイント解説 ~新技術をわかりやすく~
| 電気化学的資源化反応特性を向上する 電極ー電解液の統合設計 |
高機能化したゼオライトでCO2を回収、変換 |
|---|---|
| 大阪大学 片山 祐 | 東京大学 伊與木 健太 |
| 電気エネルギーを使ってグリーン水素やアンモニアを作ったり、CO₂を資源化する技術は、環境にやさしい技術として注目されています。 これらの化学反応をより効率よく進めるために、電極と電解液を一体で設計する新しい方法を考案しました。 鍵となるのは、反応の進み方をリアルタイムで解析することと、触媒分子と溶媒分子を同時に閉じ込めた層状材料を利用すること。この手法は、さまざまな電気化学反応に応用できる可能性を秘めています。 |
ゼオライトには小さな穴がたくさんあり、この穴が分子をふるいにかけたり、吸着したりする働きをします。主にケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)などの原子が、規則正しくつながってできた骨組みを持っています。 技術開発によって、この骨組みに他の種類の原子を加えたり、構造の中の欠けている部分を補修したり、原子の比率を変えたりすることができるようになりました。 これにより、目的に合わせてゼオライトの性質を調整することがやりやすくなりました。たとえば、吸着力を強くしたり、化学反応を促進させる触媒の機能を高めるといったことができるようになりました。 |
| 廃水中の硝酸イオンからアンモニア製造が可能な 電解還元技術 |
ウズラ受精卵(胚)を卵殻無しで 複数同時に培養する方法 |
| 東北大学 川脇 徳久 | 国立環境研究所 川嶋 貴治 |
| 硝酸イオン(NO₃⁻)は、農業用窒素肥料や工業廃水から地下水や河川に流れ込んでいき、人体や水生生物に悪影響を及ぼすおそれがあります。 有害な硝酸イオンを減らすとともに、これを肥料源や燃料として利用することができるアンモニア(NH₃)へと転換し、合成することができるようになれば、とても有用な技術となります。 本研究では、硝酸イオンを還元し、アンモニアを合成する技術の確立を目指しています。 |
ウズラの受精卵を用いて、複数の胚を同時に発生させる方法を開発しました。卵殻が無い状態でも、マルチウェルプレート*という小さな容器がたくさん並んだプレートの上で、胚を発生させる培養技術*です。 簡便かつ効率的な作業が可能となるとともに、非動物実験として、化学物質が生物の発生にどんな影響を与えるかを、鳥類の胚を使って調べる発生毒性スクリーニング評価法などに活用できる可能性があります。 *マルチウェルプレート:主に細胞培養などに用いる、たくさんの小さな穴(ウェル)が並んだプレート。1つ1つの穴に別々のウズラ胚を入れて複数同時に発生させることができる。 *無卵殻培養技術:鳥類の受精卵から卵殻を取り除いて、人工容器を用いて胚を培養する技術。同じ条件で胚を培養することができ、発生過程をリアルタイムで観察することも可能となる。 |
参加登録
申し込みはこちら(外部リンク)
登録期限:2026年1月14日(水)まで
お問い合わせ
(独)環境再生保全機構 環境研究総合推進部
Tel:044-520-9647
E-mail:erca-suishinhi@erca.go.jp










