プロジェクト紹介

BRIDGE「諸外国での金属・自然資源等の調達に向けた国際ルールへの対応と海外調達事業」

▶研究開発テーマ1:サーキュラーエコノミー(循環経済)の海外調査・技術実証

【研究開発期間】
2024年度(令和6年度)
【研究代表機関】
株式会社アビヅ
ASEAN地域等における自動車リサイクルの高度化(支援)の図

自動車リサイクルにおいて、中古部品等の回収後の車体(Aプレス品)の破砕工程(解砕及び粒度調整)は、鉄、銅、アルミ等の効率的な金属回収に向けて重要なプロセスとなります。一方、破砕工程への投入物・投入量の管理は、ベテランのオペレータによる管理が必要で、常時監視及び高度な運転操作などが必須とならざるを得ない状況にあります。具体的には、安定運転には、破砕機の稼働状況を踏まえた投入量、投入スピード等の手動による調整や、破砕機の停止を抑制するためのコントロールが必要となります。また、安全運転には、Aプレス品内に残置がありうるガソリン、オイル、リチウムイオン電池などのため、破砕に伴う火災、爆発等の事業リスクを考慮する必要があります。管理負担の解消のため、AIの活用ができれば、破砕工程の管理(安定運転、安全運転)の省人化、安定運転に伴う省電力化や、事業リスクの回避に結びつく可能性があります。

一方、AIシステムの利用可能性は、各種センサーを利用したデータ取得の方法を構築後も、機械学習を経たAIシステムの精度向上までに、相当数のデータ蓄積(数千~1万件)、対応経費や対応時間を要するために、具体化しにくい状況でした。その解決策として、次世代AIシステムとして期待される脳型AIの活用ができれば、コンパクトに、かつ、最小の学習データ量、最小電力量で成果が得られ、効率的な管理手法の実現に結びつく可能性があります。

そこで、自動車リサイクルの破砕工程における「安定運転」及び「安全運転」を目的に、脳型AIによる破砕工程の自動化技術の開発と実証を行います。具体的には、オペレータによる運転状況の識別・判断を各種センサーと脳型AIを組み合わせて自動化し、管理手法の開発を行うもので、コスト、現場での活用法をもとに開発成果の評価を行います。さらに、成果の海外展開を見据えた検討として、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)と連携の上で、今後、自動車リサイクルの機械化の進展が想定されるASEAN地域等における利用可能性の検討を行います。

  1. 自動車リサイクルの破砕工程における脳型AIを活用した効率的な管理手法の開発
    • 安定運転:破砕投入量、投入スピード等、手動操作の支援
    • 安全運転:ガソリンの残油、オイル残油、リチウムイオン電池の破砕による火災、爆発等に伴う事業リスクの回避
  2. ASEAN地域等における自動車リサイクル技術の高度化に向けた検討

▶研究開発テーマ2:先端技術を用いたASEAN地域からの自然資本のサステイナブル調達の評価検証事業

【研究開発期間】
2024年度(令和6年度)
【研究代表機関】
みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
ASEAN地域等における自動車リサイクルの高度化(支援)の図

BRIDGE施策「諸外国での金属・自然資源等の再生資源の調達等に向けた国際ルールへの対応と海外調査事業」における研究開発テーマの一つであり、ASEAN地域等から自然系の資源(木材・農作物等)を調達している企業が、適切にサステイナブル情報開示に対応できるようにリモートセンシングなどを活用した支援サービスビジネス等に必要な調査検討を行うことを目的としたものです。

本研究開発では、国際的な基準を基に対象品目の調達にかかる自然資本課題のインパクト評価指標と判断基準及びモニタリング手法を検討することにより、自然との接点(事業場所等)の把握や診断、評価が定量的且つ簡便に行えるようになり、ASEAN地域で原材料調達を行う事業者のサステイナブルな調達を促し、適切な情報開示等の準備となることを目指します。

ASEAN内2カ国以上から調達を行う事業者を対象に、衛星画像を活用したリモートセンシング技術等を用いて、自然資本の調達先であるプランテーションや農場の範囲を正確に把握し、自然資本に関する事業活動の定量的な評価指標と判断基準の作成、モニタリング手法の開発・事業者による実証を行います。モニタリング手法の検討にあたっては、既存のツールを試験的に導入して現地での情報収集可能性を検証するとともに、実際のデータの収集を行い今後の分析サービスに資するデータの構築を目指します。開発した手法やインパクト評価指標については、有識者や学識者による妥当性に関するアドバイスを受けるとともに、サステナブルファイナンスの自然資本への拡張・実用可能性について、金融機関によるフィードバックを受け、改良を行います。

本研究開発により、自然資本のサステイナブル評価の高度化及びASEAN地域等からの資源調達におけるサステイナビリティ調達の推進への貢献を目指します。

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