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SIP課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミー(循環経済)とは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものです。

従来の大量生産・大量消費型の経済社会活動は、大量の廃棄物を生み出し健全な物質循環を阻害するほか、気候変動、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の破壊など、様々な環境問題を引き起こしており、持続可能な形で資源を利用する「循環経済(サーキュラーエコノミー)」への移行を目指すことが非常に重要な課題となっています。

プラスチック問題

プラスチックとは

プラスチックは主に石油を原料とする合成樹脂で、軽量かつ加工が容易で安価な素材であることから、食品容器やペットボトル、家電製品、自動車、飛行機、建物に至るまで、我々の身の回りで広く利用される必要不可欠な素材です。1907年にアメリカの化学者ベークランドが世界初のプラスチックを発明して以降、石油化学産業の発展などに伴い、現在では年間に約3億9000万トンのプラスチックが生産されています(出典:Plastics Europe “Plastics-the Facts”(2022))。

環境中に残留するプラスチック

適切に処理されなかったプラスチックの多くは自然に還らず、環境中に極めて長期間残り続けると考えられており、それに伴う様々な問題を引き起こしています。例えば、海へと流れ着いたプラスチックは海洋動物の命を脅かすだけでなく、実際に漁業・養殖業や観光業にも大きな打撃を与えているとされ、世界で年間130億ドル(1兆4,300億円)もの経済的損失が発生していると考えられています(経済協力開発機構(OECD)調べ)。また、プラスチックの使用量は年々増え続けており、それに伴って、2050年には海の中の魚よりもプラスチックの方が多くなってしまうかもしれないとの指摘もあります(エレンマッカーサー財団調べ)。

日本におけるプラスチックリサイクルの現状

我が国では廃棄されたプラスチックの多くを焼却しており、その際に発生する熱を回収し有効活用(サーマルリカバリー)しています。しかし、多くのプラスチックは化石燃料である石油を原料としていることから、限られた化石資源が「消費」され続けている状況には変わりなく、世界的にサーマルリカバリーは「リサイクル」と見做されない傾向があります。また、その過程では大量のCO2が発生しており、地球温暖化防止等の観点からも望ましくありません。

SIP課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」について

概要

本SIP課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」においては、下記の研究開発テーマにより、今後も使用が増え続けることが見込まれる「プラスチック」の循環経済実現を目指します。

ミッション

プラスチックサーキュラーエコノミーシステムの構築に向けて、5つのミッションに取り組みます。

目指すべき将来像からバックキャストし、5つのミッションを設定。ミッション1は、情報共有のためのデジタルプラットフォームの構築。ミッション2は、動静脈、じょうどうみゃく連携を実現する技術の開発。ミッション3は、サーキュラーエコノミーにおけるイノベーティブな循環を推進するための技術開発、環境構築。ミッション4は、ティーエヌエフディーやティーシーエフディーなど、情報開示に関する国際的なルール形成への対応。ミッション5は、企業・消費者の行動変容および社会受容性の醸成。

ミッション1~3は個別課題であり、ミッション4、5はそれを実現するための共通課題です。

研究開発テーマ&研究体制

以下のとおりサブ課題A~Cを設定し、各々連携しながらサーキュラーエコノミーシステムの構築を目指します。

参考