熱中症による健康被害を防ぐために、気候変動適応法が改正されました。
気候変動適応法改正の背景
気候変動の影響により、国内の熱中症死亡者数は増加傾向が続いており、近年では年間千人を超える年が頻発するなど、自然災害による死亡者数をはるかに上回っています。また、今後、地球温暖化が進行すれば、極端な高温の発生リスクも増加すると見込まれ、我が国において熱中症による被害が更に拡大するおそれがあります。
気候変動適応法の改正は、こうした状況を踏まえ、今後起こり得る熱中症の発生の予防を強化するための仕組みを創設する等の措置を講じ、熱中症対策を一層推進することを目的としています。
自然災害(※1) | 熱中症(※2) | |
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2017年 | 129人 | 635人 |
2018年 | 452人 | 1,581人 |
2019年 | 159人 | 1,224人 |
2020年 | 128人 | 1,528人 |
2021年 | 150人 | 755人 |
2022年 | 26人 | 1,477人 |
※1 令和5年度防災白書より(行方不明者含む)
※2 人口動態統計より
主な改正内容
- これまで法律上の位置づけがなかった政府の熱中症に関する計画を「熱中症対策実行計画」として法定の閣議決定計画に格上げしました。これにより、関係府省庁間の連携を強化し、政府一体となった熱中症対策を推進していきます。
- また、法律上の位置づけのない熱中症アラートを「熱中症警戒情報」として法律に位置づけをしました。
さらに、より深刻な健康被害が発生する可能性のある極端な高温時に備え、一段上の「熱中症特別警戒情報」が創設されました。 - 公民館、図書館等の冷房施設を有する等の要件を満たす施設を指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)として市町村が指定できるようになりました。
- 市町村長が熱中症対策の普及啓発等に取り組む民間団体等を「熱中症対策普及団体」として指定できることになりました。地域の実情に合わせ、地域での声掛け活動など高齢者等の熱中症弱者の予防行動を徹底します。
環境再生保全機構が新たに担う業務
- 熱中症警戒情報等の発表の前提となる情報の整理・分析等
- 地域における熱中症対策の推進に関する情報の収集・提供等の業務