B2-01 自治体協力回収プラスチックの分別・供給システムの確立
研究開発責任者
宮原 伸朗(アミタホールディングス株式会社)
研究開発概要
本研究開発の目的は、地方自治体と協力しながらプラスチックの分別・供給システムを開発し、自動車向け高品質再生材の供給に向けた X to Car モデルを構築することである。到達目標は下記の通り。
- モデル拠点の対象地域におけるマテリアルリサイクル率:2027年度 50% 達成
- モデル拠点での回収プラスチックのマテリアルリサイクル量:2027年度10t/年達成
- 回収されたプラスチックの資源品質について、テスト品の物性指標(MFR、溶融粘度、引張特性(降伏応力、チャック間伸び、弾性率)、曲げ特性(曲げ強さ、弾性率)、b-ESCR等)について素材メーカーと目標値を定め検証
- プラスチック製品の易再生化
- 生活者のマインド・行動変容に向けた仮説/検証、一般解化
主な内容として、1と2に関しては、資源回収ステーションや店頭でのBOX回収を自治体と協力しながら実施し、ソーティングセンターによる回収した資源の集約・情報化の仕組み構築を中心に行う。また、自動車向け高品質再生材の供給にあたり、対象品目をポリプロピレン(PP)に設定する。3については、回収プラスチックの物性測定を行い、アップサイクル技術でバージン材同等以上の高靭性化の達成(ポリロタキサンを用いた汎用プラスチック(PP等)の高靭性化技術の創出と、引張in-situ精密構造解析と、バイオマス由来原料を用いたモノマー生成に資する触媒技術(バイオマス由来原料からのモノマー合成に関する触媒インフォマティクス技術(ハイスループット合成・評価技術))の構築とする。4と5については、自動車用プラスチック製品に要求される物性水準へ導くための再生しやすい製品(商品)の開発と生活者がプラスチック製品を処分する際にリサイクルを想起するようなマインド・行動を変容する手段を実証する。
進捗・成果
(1)神戸市における資源回収ステーション(エコノバ)既存2拠点での回収実証、新規拠点1拠点立上げ
- エコノバふたば及びあづまに加えて、たかくらだいでのモノマテリアルPPの5品目の回収を開始
- ターゲット素材の回収を行っている神戸市内のエコノバは45か所へと拡大
- 地域のイベントに出展する形で認知拡大施策を複数回実施
- 2025年度に実施予定の回収量をオンラインで把握するための実証を進める調整を開始。回収現場の運営効率化と、月次回収量や傾向の正確な把握を目指す
(2)神戸市における店頭回収モデルの標準化
- 神戸市つめかえパックリサイクル PJ のメンバーと店頭回収モデルについて取組み、Annual Report を報告
- 回収したつめかえパック由来のペレットを原料として、傘のシェアリングサービスで用いる傘と、つめかえパックの回収ボックスへのリサイクルを実現し、回収量の拡大やSIPの認知拡大を狙い実地での運用を開始した
(3)回収プラスチックのソーティング及びプラスチック原料化に関する検証
- 回収したペットボトルキャップを原料とし、J-CEPの企業と共に試作品製造
- 回収したペットボトルキャップ由来のポリプロピレンを車部品向けに使用することを想定した物性評価を実施
- 回収した豆腐容器のソーティングおよびフレーク化を実施
- 上記の再生材についてサブ課題Cの東北大学にて物性評価を実施
(4)高度選別/データ取得のためのデータキャリア研究
- 神戸市で回収されたつめかえパックをサンプルとして、画像認識によるデータ取得×AIによる素材判別の技術検証を実施
(5)利用者向けアプリケーション要件定義・開発
- チェックインアプリ(MEGLOOP®)の改修を実施
- 資源出しによる環境効果を利用者にフィードバックしつつ、回収資源の重量や品質の情報を蓄積するためのアプリケーションを、AIを活用しながら開発することを検討中
(6)社会的インパクト評価の調査実施
- 神戸市のエコノバふたばにて、ビーコンを用いた位置情報からの会話発生の解析可能性の調査と、目視による会話発生の実態調査分析のための実証実験を実施
- 神戸市で実施したアンケート結果や実証実験の結果を元に、コミュニティ型回収拠点が生む社会的なインパクトについてレポート形式でまとめた「インパクトレポート」を作成中
(7)対象とする自治体の追加
- 神戸市内以外の他エリアの展開への研究範囲の追加を検討実施。福岡県大刀洗町、奈良県奈良市月ヶ瀬地区、福岡県豊前市、愛知県長久手市等へ展開

図1.自治体協力回収プラスチックの分別・供給システムの確立 研究開発概要図