C1-01 環境試験・診断・トレーサー技術の確立と産業応用のためのデジタル解析基盤の構築
研究開発責任者
内藤昌信(国立研究開発法人物質・材料研究機構)
研究開発概要
C1-01では、本SIPが定めるミッション1、2及び3を達成するため、以下の研究開発に取り組む。
ミッション1:情報共有のためのデジタルプラットフォームの構築
- CE(サーキュラーエコノミー)プラスチック材料に関する研究開発基盤をCE-SIPラボとして物質・材料研究機構(NIMS)に設置し、CEに関連する産官学の協調領域研究の推進と産業競争力の強化に向けたデジタル解析基盤を構築する。
ミッション2:動静脈・静動脈連携を実現する技術の開発
- トレーサー分子やリサイクル材の臭い同定・検出技術を確立することで、動静連携を推進する。
ミッション3:サーキュラーエコノミーにおけるイノベーティブな循環を推進するための技術開発・環境構築
- 動的架橋構造を有するネットワークポリマーを基軸としたサーキュラー素材を開発する。また、マテリアルインフォマティクスを駆使した環境試験・診断技術、及び、プラスチック製品のサステナビリティを追跡するためのトレーサー技術を確立する。
- 自動車設計・廃車(End-of-Life Vehicles:ELV)管理における持続可能性要件に対応するため、自動車用プラスチックに関するサーキュラーエコノミー材料に関する研究開発を行う。
進捗・成果
溶融粘度で高精度予測:再生プラスチックのゼロコスト品質検査技術
再生プラスチックは品質のバラつきが大きく、ロットごとに高コストな化学分析や機械試験を実施しなければ品質に応じた分別が難しいため、低付加価値用途に限定されてきた。そこで本研究では、通常のリサイクル工程で自然に得られる「溶融粘度データ」だけを用いて、製造中のペレットの機械的特性を高精度で予測する「ゼロコスト検査技術」を提案した。Deep Learningにより、引張強度や耐衝撃性を85%以上の精度で予測し、高品質な再生ペレットを製造前に選別することを可能にした。これにより、従来は低品質用途にしか利用できなかった家庭廃棄プラスチック等も、良好なロットは高付加価値用途へアップサイクルすることで、資源循環型社会の実現を大きく加速することが期待される。
