C1-03 再生材の自動車内外装部品への適用に向けた品質評価及び自動車部品開発
研究開発責任者
内田 均(豊田合成株式会社)
研究開発概要
欧州ではELV規則案※1をはじめとするサーキュラーエコノミーを支える仕組みや、プラスチック素材をリサイクルする技術が実用化されている。本研究開発プロジェクトでは、自動車全体で使用されるプラスチック材料の約60%を占めるPP材料を対象に、非自動車由来の使用済みプラスチックからの回収材料を含むリサイクル材料について、自動車内外装構成部品の材料特性、加工特性、信頼性を評価することで、再生材含有比率を向上させる材料開発につなげる。
製品性能評価を含めた自動車部品への適用評価については、材料メーカーへフィードバックを実施し、最終的に自動車部品の開発につなげる。この取組みを通じ、ELV規則案へ対応する高品質再生材のMinimum Viable Product(MVP)開発に貢献する。
※1 End-of-Life Vehicles規則案 :使用済み自動車の廃棄やリサイクルに関するEUの規則
進捗・成果
リサイクル材料の基礎物性、機械的特性について、自動車メーカー (original equipment manufacturer (OEM) )と別途協議を進めることで、自動車関連団体と同レベルの目標値設定を行った。その目標値へ向けて、各材料メーカーが再生材(非自動車ソース)を含むリサイクル材を製造し、本リサイクル材で、部品試作から製品評価までを一巡させ、社会実装へ向けた課題抽出を行った。
対象製品を図1に示す。また、評価結果の代表例を表1に示す。評価の結果、再生材の含有量が25~30%程度の場合、配合するバージン配合材料の性能にも依存するものの、物性目標値をほぼ満たすリサイクル材を得ることができた。
製品の成形加工における評価は、成形時の激しい異臭もなく、成形条件の著しい変更もなしに製品成形加工を実施することができた。一方、再生材100%のリサイクル材の場合は流動性に劣ることと、フィラー含有量が少なく成形収縮するため、得られた成形品は小さいものであった。
製品性能における評価は、再生材の含有量が25~30%程度の場合、製品の耐衝撃性は要求性能を満たすことがわかった。更に製品の臭いについても、不快な臭いは無く、良好な製品が得られた。
24年度の結果において、再生材含有量が30%レベルであれば、内装部品の初期性能を満たす可能性が見いだされた。今後は、再生材自体の性能変化(ばらつき)に基づく製品性能の影響確認や、自動車の外装部品での検証を進める。

図1.PP製の自動車内装部品例と評価の対象部品

表1.製品性能の評価結果