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第3回公開シンポジウム トークセッション

2026年1月30日に開催された「第3回公開シンポジウム」におけるトークセッションの内容を掲載しています。マシンガンズ滝沢秀一さんと伊藤PDがプラスチックリサイクルの現状や今後の展望について語り合いました。

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第3回公開シンポジウム トークセッション:マシンガンズ 滝沢秀一さんと考える“ごみの現場”と“再生プラスチックの可能性”

司会

八木 亜希子氏
(フリーアナウンサー)

登壇者

伊藤 耕三氏
(PD/東京大学)

滝沢 秀一氏
(お笑い芸人兼ごみ清掃員)

目次

八木氏
ここからはトークセッション「お笑い芸人兼ごみ清掃員 マシンガンズ滝沢秀一さんと考える“ごみの現場”と“再生プラスチックの可能性”」と題して、お話をいろいろと伺っていきたいと思います。
改めて、お話を伺うおふたりをご紹介させていただきます。
まずは、先ほどSIPの進捗状況をお話いただいた、2023年よりSIP第3期課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」プログラムディレクターを務めていらっしゃる伊藤耕三さんです。引き続きよろしくお願いします。

伊藤氏
よろしくお願いします。

八木氏
お願いします。
伊藤さんは東京大学特別教授であり高分子分野における世界的な権威と伺っていて、私はその世界的権威としての先生に、インタビューさせていただいたことがあるのですが、改めてよろしくお願いします。
そして対談いただくのは滝沢秀一さんです。

滝沢氏
よろしくお願いします。

八木氏
ご紹介するまでもないと思いますが、滝沢さんはお笑いコンビ「マシンガンズ」として活躍する一方で、ごみ清掃員としても勤務し、2020年には環境省のサステナビリティ広報大使に任命されていらっしゃいます。環境問題に関する発言を積極的に、いろいろなところでされていますね。

滝沢氏
さっきも舞台袖でギリギリまで、マニアックなプラスチックの話をしていました。

八木氏
打ち合わせのときも、おふたりで話が盛り上がっていました。

滝沢氏
緞帳が上がるギリギリまでしゃべっていましたからね。

八木氏
このおふたりの組み合わせが、まさに私としては「SIPだな」という感じがします。改めて、SIPの活動の重要な一環と思うのですが、そのあたりを、話を進めながら伺っていきたいと思います。

プラスチックリサイクルの必要性

まず、最初のテーマ「プラスチックリサイクルの必要性」から伺います。

トークセッションの様子

ロビーで皆さんも、再生プラスチックを使用して作製した自動車部品や家電などを、いろいろ見ていただいたと思います。以前、私が見たときから半年ぐらい経っていると思いますが、製品がずいぶんと増えましたね。

伊藤氏
(数が)増えただけでなくて、再生材の含有率が増えたのです。去年は25%が最大だったのですが、今回ご覧いただいたものの中には70%のものがあります。これは私も驚きました。

八木氏
かなりのスピードで進んでいますが、これはやはり必要性が増したからでしょうか。

公開シンポジウムで展示された自動車および家電部品の写真

伊藤氏
そうですね。それもありますが、やはり、このSIPというプロジェクトは、日本最高のアカデミアや、業界を代表する企業さんなどが協力して一気通貫で取り組んでいますので、その成果だと思っています。これはなかなか、他の国はできないということです。

八木氏
そうですね。そうして「一気通貫で急ごう」というのには、理由があるのですよね。

伊藤氏
はい。先ほどお話ししたELV規則案※1。これがものすごく重要です。私は昔、自動車部品(開発)のプロジェクトに参加したことがあるのですが、普通、部品の開発には10年かかると言われているのです。普通に考えたら、もう全然間に合わない。10年かかるものを半分でやらなければいけないので、確かにお尻に火がついている状況だと思います。
※1:使用済み自動車(ELV)の廃棄・リサイクルを規制する新制度であり、新型車に使用するプラスチックについて、発効6年以内に15%、10年以内に25%を再生材とすることを義務づける内容を含む。

トークセッションの様子

八木氏
私たちが、普段出すプラスチックごみが、再生品になると考えてよろしいのですか。

伊藤氏
はい。ただ、自動車に使われるプラスチックには耐久性が求められるので、一番品質の高いもの、性能の高い、グレードの高いプラスチックが使われています。しかし、我々が使う一般のプラスチック製品には、それほど耐久性は要りません。グレードで言うと、いわば低いものが使われているわけです。ですから、そのグレードの低いものを再生して自動車のようなグレードの高い製品に使えるのかが、誰も分かりませんでした。

八木氏
日常で使っていたプラスチックが、そのまま自動車部品として耐えられるものにできるのですか。

伊藤氏
そこは誰も分からなかったのです。それを今回のプロジェクトでやってみたら、実は使えた。これが大きいと思います。

八木氏
できるようになっている。

伊藤氏
いろいろなノウハウがあって、そこまでされたのではないかと思います。結果として、世界一厳しい基準をちゃんと満たした。これは本当に素晴らしいと思っています。

滝沢氏
「車に(再生材を)25%使わなければいけない」とのことですが、これは1つの部品に対して25%ですか。それとも、車全体で25%なのですか。

伊藤氏
車全体です。

滝沢氏
ということは、耐久性が必要なところであればバージンの素材を使って、他のところで再生材利用の素材を使えば良いということでしょうか。

伊藤氏
そうですね。それをすると自由度が上がるので、車を作る上で非常に作りやすくなると思います。

八木氏
メリハリをつけられるのですね。
滝沢さん。今、プラスチックが日常品から再生できるというお話でした。先ほどの先生のご説明でも、たくさんの種類がありましたし、高品質のプラスチックでないとダメだといったお話もありました。(清掃の)現場では、これがどのように使われる、といったことは分かっている感じですか。

資源とごみの違い:現場から見た課題

滝沢氏
プラスチック資源について、まず、(消費者は)区別がついていないと思います。言ってみたら、プラスチックを集めていても、「プラスチックの日」くらいにしか思っていない。プラスチックごみと、プラスチック資源の区別がついていないと思います。

八木氏
捨てている私も、区別がついていないところがあります。

滝沢氏
プラスチック「ごみ」と言っているのは、例えば食品で麻婆豆腐のパウチみたいな汚れたものはプラスチックごみで、自治体によって可燃ごみか不燃ごみかに分けなければいけません。
プラスチック「資源」の場合は、汚れのないものを回収しなければいけません。でも、一般の人はそこまで認識していないので、汚れたものも入れたりするわけですよ。すると、他のプラスチックも汚染してしまいます。そうすると、プラスチックの中間処理※のところでベルトコンベアで流れてくるのですが、汚れているものがあったらそのあたりは全部、ごっそり捨てられてしまいます。
※ プラスチック資源として出されたものを、「再資源化できるもの」と「最終処分すべきもの」に分ける工程

八木氏
良いものが隣にあっても。

滝沢氏
そう。1個だけ取ることはできないので、まわりをごっそり捨てちゃったりするんですよ。なので、まず、資源とごみの違いを理解することが、一番大事なんです。

八木氏
プラスチックごみとプラスチック資源。発泡トレイは別にする、という気持ちはあるのですが、たぶんコンタクトレンズケースは、アルミのフタが付いたまま、ポンって捨ててしまう人もいると思います。

滝沢氏
だから、プラスチック資源のほうに入っていることもありますが、だいたいはやはり、可燃ごみで捨てられていますよね。

八木氏
意識の高い人はちゃんと回収箱に入れているのでしょうが、本当にまだ知れ渡っていないというのが問題ですね。

滝沢氏
そうですね。伊藤さん、例えば、コンタクトレンズケースの蓋の部分はアルミですよね。それが一緒にプラスチック資源のほうに入っていたら、どうなのでしょうか。

伊藤氏
これは、一番問題なのです。

滝沢氏
やはり、なかなか大変ですよね。

伊藤氏
今回、作ってみて分かったのですが、アルミが残っていると、製品の中で異物になってしまう。それがあると何がまずいかというと、自動車部品を作るときには耐衝撃性、つまり、衝撃が加わったときに壊れないかどうかが一番重要な性能になります。しかし、小さい異物が入っていると壊れやすくなってしまうのです。だから、本当に資源として価値を高めるためには、アルミの蓋を完全に外していただきたいのです。
それから、使い終わったレンズを空ケースにペタッと張って、そのまま捨ててしまう場合もあるらしいのです。

八木氏
一緒くたにしてしまうのですね。

伊藤氏
同じプラスチックだと思われているようなのですが、コンタクトレンズのプラスチックと、ケースのプラスチックとでは全然違いますので、レンズも異物になってしまうのです。

八木氏
捨てるほうとしてはむしろ、丁寧に元に戻しているイメージですが。

伊藤氏
それが一番良くないのです。

滝沢氏
基本的には、コンタクトレンズもケースと一緒に回収BOXに入れるのは、悪気があるわけではないのですよね。ですからポイントは、きちんと分別することの重要性をどうやって広めていくかです。

自動車、家電へ使える高品質のプラスチック再生材をどう集める?

トークセッションの様子

八木氏
2番目のポイントが、「高品質のプラスチックをどのように集めるか」です。伊藤さん、具体的なものをいくつか挙げていただけますか。

伊藤氏
皆さんの身の回りにあるものでは、豆腐の容器です。あれは良いですね。それから、押し入れの収納ケース。

滝沢氏
衣装ケースみたいなものですね。あれも単一素材ですものね。

伊藤氏
タッパーも良いですよ。

滝沢氏
そうですね。あれは粗大ごみのところでバッキバキに壊されて捨てられています。

八木氏
壊されて、捨てられるのですか。

滝沢氏
そうです。パッカー車という、清掃車の少し大きめなものがあるのです。あそこに挟んで、バキバキバキッと壊しています。

八木氏
豆腐の容器は、プラスチックごみになっていますよね。豆腐の容器はとても良いということですが、上のセロハンを剥がせばいいのですか。

トークセッションの様子

伊藤氏
あれも、少し難しいのです。たまに、多層フィルムというものが使われているのです。日本の技術はすごいので、長い時間置いても腐りませんね。あれはバリア材など、層がたくさん重なっているからなのですが、それが使いにくいのです。

滝沢氏
複合材ですね。

八木氏
上のセロハンが使いにくいのですね。

伊藤氏
SIPのプロジェクトで、どういうものが使いやすいか、今、いろいろ試しています。

滝沢氏
今、「プラスチック資源」として集めていますが、やはり大きく集めると、なかなか難しいので、コンタクトレンズの「ケースだけ」などフォーカスしないといけないと思っています。そうしたほうが、高品質なものが集まりやすいと思います。

八木氏
まとめてボンっと入れられるような回収するところがあればいいですね。

滝沢氏
そうですよね。レベルの高いことを一般の方に求めるのは、なかなか難しいと思うんですよね。

伊藤氏
難しいですね。

効果的な回収方法:拠点回収と店頭回収

滝沢氏
ですから、僕はやはり、これからは拠点回収だと思っています。例えば、清掃事務所。今は、リチウムイオン電池が入っているものは、なかなか回収されないこともあります。でも「清掃事務所に持ってきたら受け取りますよ」となれば良いと思っています。それを拠点回収と言いますが、まだ拠点が少ないのです。
例えば、皆さんの身近なところで言えばスーパーがありますね。

伊藤氏
店頭回収ですね。

八木氏
発泡トレイの回収はスーパーでやっていますよね。

滝沢氏
そうです。肉や魚のトレイ。リサイクルの仕方はお店によって違っていて、トレイからまたトレイになるところもあります。いろいろなリサイクル方法があるのですが。
でも、このように、同じものをきれいに集めることができれば、また同じものに変わる可能性もあるのです。

八木氏
滝沢さんはご自身の作業だけではなく、取材でいろいろなところに行かれていますが、うまくいっている拠点回収の例はありますか。

滝沢氏
例えば神戸市の「エコノバ」があります。あそこでは、豆腐の容器みたいものも含めて、「これはPP素材ですよ」「これはPS素材ですよ」と細かく集めています。
皆さんの住んでいるところには、例えばエコプラザのようなところは、何かありますか?

八木氏
訪ねたことがありません。

伊藤氏
すみません。

トークセッションの様子

滝沢氏
そうなんですよ。すごく画期的なところもあれば、ちょっと寂しいなっていうところもあります。僕はそこを、ちゃんと利用したほうが良いと思っています。

八木氏
知らなかったことがとても申し訳ないのですが、エコプラザというところに行くと発泡トレイもリチウムも分別できるのですか?

滝沢氏
はい。分別に限らず、例えばリユースということで洋服を販売していることもあります。そうしたところをうまく使ったら良いと、僕は思います。図書館とか郵便局とかにも回収ボックスを置いてもらえたらいいと思います。郵便局は大きいところも狭いところもありますが、そうした、みんなが行くようなところを回収拠点として、ボックスを置いてくれたら良いと思うのですが、これがなかなか進まないのは何故だろう。

伊藤氏
理由の1つは、神戸市の場合もそうなのですが、搬送にものすごくコストがかかることです。

八木氏
拠点で集めたものを次のところに運ぶときに、燃料がかかったり、手間がかかったりするからですね。

伊藤氏
はい、そこがネックになるのです。神戸市の場合は市がお金を出して、宅配業者さんと組んでいます。そして、宅配業者さんが回る途中で、集めてくるのです。そうした輸送のシステム、物流のシステムをうまく考えないといけない。消費者も、あまり遠くだと持っていきませんよね。なるべく近くに、例えばスーパーに行くときに持っていきたい。集めたものをどうやって回収して運ぶかというシステムとセットで考えないと、なかなか難しいと思います。

八木氏
なかなか難しいですね。私も、発泡トレイは集めているのですが、スーパーに行っても、「あ、発泡トレイを持ってくるのを忘れた」となって、どんどん家に貯まってしまいます。

滝沢氏
そうですよね。僕も、コンタクトレンズを付けるので、家にケースを貯めているのですが、持っていくところが2駅離れていて遠いのです。狙っていかないと、なかなか持っていけないですね。

八木氏
「持っていくぞ」という意識がないとできませんね。そうすると、拠点が、物流の件も含めて、もう少し身近な場所で「あそこに行けば」というものがあれば良いですね。町内会でも、エコプラザ的なものでも。

滝沢氏
僕は、ペットボトル回収でコンビニを回る専門の車に乗っていたことがあります。でも、途中からなくなったんです。雇用の予算削減ですね。お金をかけないと、なかなか難しいですね。先ほどおっしゃっていた問題と一緒です。
それから衣装ケースを集める場合、空気を運んでいるようなものなので、少しもったいないんです。いかに効率よく集めるかが大事だと思います。

八木氏
そうですね。中が空洞ですものね。もったいないですよね、スペースが。

滝沢氏
そこの部分をどうするか。やはり、「スペースはお金」です。その部分を、ただで運ぶのはもったいと思います。いかに効率よく集めるかが大事です。

八木氏
店頭で回収する会社もありますけれどね。

日本と海外のプラごみ事情

おふたりは海外の視察もされていますが、先ほどいろいろな例もご紹介いただきましたが、海外ではどうですか?

トークセッションの様子

伊藤氏
私はドイツを実際見に行ったのですが、やはり、全く日本と違います。
中国はもしかしたら、日本と近いかもしれません。「こういうプラスチックを集めましょう」となると、すぐに集まるのです。インセンティブみたいなものを出しているようです。

八木氏
どんなインセンティブですか?

伊藤氏
どこまで正しいか分かりませんが、私が聞いた限りでは、指定のものを持っていくとお金が返ってくるということでした。

八木氏
お金に還元される。

伊藤氏
はい。そのため、量がものすごく集まります。
ドイツは逆に、分別をしていないのです。缶も、プラスチックもペットボトルも紙も、全部一緒に集めてきて、それを巨大な施設で選別します。

八木氏
分別をしないのですか。

伊藤氏
向こうの人は分別も洗ったりもしないのです。

八木氏
ドイツにはそういうイメージがないのですが。とりあえずバーッと一斉に集めてくるのですね。一緒くたにして。

滝沢氏
逆に言うと、分別がないのですね。

伊藤氏
それを、施設で徹底的に選別するのです。そして、最後にものすごくクオリティが高いものを作ります。

八木氏
クオリティが高いものがそこからできるのですか?
集めて、分別して、リサイクルする。それ自体が一大事業のように。

トークセッションの様子

伊藤氏
ものすごく巨大な施設で、自動化された機械で、徹底的にやっています。

八木氏
すると、かなりお金もかかりますよね。

伊藤氏
はい。私が見た感じでは、相当お金をかけてやっていると思います。

八木氏
それが、果たして効率がよいかどうかとなると。

伊藤氏
CO2などを計算すると、どうなのだろうと思いますが。

八木氏
見習うべきところは中国でしょうか。

伊藤氏
ただ、日本には、両方のシステムがありますし、しかも、洗って捨てています。もっとコストをかけずに、ハイクオリティのものが出せるのではないかと思います。

八木氏
中国とドイツのそれぞれを見ていると、日本はその間を取った感じの方法がとれる、ということですか。

伊藤氏
そうですね。間を取った良いシステムが、もっとあるのではないでしょうか。

滝沢氏
EUを真似すれば、「もう分別しなくて済む、手間がかからなくて良い」といった話になりますが、やはり、そこにはコストがかかってくるわけですね。

伊藤氏
ものすごくかかっていると思います。

滝沢氏
だとすると、例えば、(日本の)ペットボトルの回収率は80%以上ですし、日本には手元分別という習慣があるので、それをうまく利用するべきだと僕は思います。

トークセッションの様子

八木氏
日本人には手元分別意識があります。

滝沢氏
そう。これが根強くあります。

八木氏
そうですね。最近はごみ箱も、いろいろな種類が並んでいますね。

伊藤氏
ただ、あまり細かくやりすぎると、かえって嫌になると思います。なるべく最低限にして、あとはその組み合わせにする。最低限でやって、そこからとても良いものにする。そことセットにしたほうが良いと思います。

八木氏
そのあたりのバランスが大切ですね。

伊藤氏
細かく分別している市町村もありますが、やりすぎると、結局輸送にお金がかかるので、そこでまた一緒にしてしまうこともあるのです。

八木氏
滝沢さんは海外で、面白かったお話はありますか?

滝沢氏
僕はフィリピンで、ごみ回収というよりも、「ウェイストピッカー」と言われる、「ごみを拾ってそれを売る」ということを、子どもたちがやっているのですが、そのごみを買い取ってくれるジャンクショップと言われるところに行きました。ジャンクショップは中古屋さんと言うか、鉄などの素材を「何キロでいくら」といった感じで買ってくれるところです。

八木氏
子どものころ、空き瓶を持っていくと10円もらえましたよね。そんな感じですか。

滝沢氏
そうです、そういう感じです。そこではプラスチックも買い取ってくれるんです。基本的には、今言ったように重みで買い取りをします。すると、軽いものは捨てるのでごみ山ができます。日本は焼却していますが、海外ではあまり燃やしません。東南アジアなどでは清掃工場があまりないためです。だから、ごみを山積みにするわけなんです。そこに、僕は登ってみたんです。

八木氏
登ったんですか?

滝沢氏
ええ、登ったんです。ジャンクショップでは、重みのあるプラスチックは、わりと高く売れます。では、そのごみ山にあるプラスチックは何かと言ったら、ペットボトルのラベルみたいな薄いもの。食品にも、薄いものが付いていますね。あれはほとんど重みがないから売れない。だから、それがごみになるわけなのです。

八木氏
むしろ薄いラベルがごみになっているのですね。それはもう、リサイクルできないものなのですね。

滝沢氏
そうなんです。もう、いろいろなごみと混ざっていて、それはただ積み上がっていくだけです。

八木氏
そして、重いプラスチックは買い取ってもらう。

滝沢氏
はい。鉄に近いようなぐらいの値段で、買い取ってもらえるんです。
ここが、僕はポイントだと思います。ごみ分別に罰則を設けても、意外と限界があると僕は思います。でも、先ほど言ったようにインセンティブ、要は分別したことによって自分が得することがあれば、皆、喜んでやると思います。プラスチックを買い取ってくれるところがあれば、「では、ちょっと持っていこうか」「ジャンクショップに行こうか」となると思います。

八木氏
日本での集め方について、滝沢さんとしては問題だと思うことはありますか。翻って海外事情を見て、日本のヒントになることや、日本はこういうところが足りない、あるいは、日本はここが優れているなど、感じたことがあればお願いします。

トークセッションの様子

滝沢氏
そうですね。ペットボトルはこれだけ成功していますから、プラスチックの回収の仕方も、そこからヒントを得て展開していけないでしょうか。

伊藤氏
そうですね。ペットボトルは世界一成功していると思います。

滝沢氏
もともと、回収をすることを前提に始めたわけですよね。でも、プラスチックにはいろいろな素材があります。そうなると回収前提ではなくて、「では、集めたものをどうしようか」という話になります。もともとマテリアルリサイクルにしていた自治体も、「集めたはいいが、ちょっとこれ難しいな」となってくると、サーマルに移行してしまうこともあります。

八木氏
燃やすのですね。

滝沢氏
そこが問題だと思います。

伊藤氏
おっしゃるとおりです。ペットボトルはとても成功していますが、あれはプラスチック全体の5%しかないのです。ほとんどのプラスチックは、そこまでいっていない。

日本の課題:自治体間のルールの不一致と表示マーク

もう1つ、日本の課題としては、自治体ごとに全部違うこと。集める対象も違うし、集め方も違う。やはり、自治体が足並みを揃えることが今、一番大きな課題です。

八木氏
足並みについては、いつも思います。旅行に行くと違いますし、学校と家でも違う。それを揃えられるのでしょうか。

滝沢氏
1つのポイントとして、製品や商品の裏に、「プラ」マークや「紙」マークがありますが、あれに消費者は騙されてしまうことがあります。「紙」マークがついていても、紙として再生されないものが世の中にはたくさんあります。

八木氏
「資源」紙と、「ごみ」紙があるということですか?

滝沢氏
そうです。「紙」と書いてあったら、紙としてリサイクルされると思うから紙の日に出そうと思いますよね。でも、それは、間違いである場合もあります。
どこの製品とは言いませんが、例えばカップラーメンの容器に「紙」マークが書いてあるものがあります。これは法律で書かなければいけないものですが、たとえ紙の素材が51%、プラスチックが49%だとしても、「紙」と書いて良いんです。これは処理料が違うんです。紙のほうが、払うリサイクル料が安いんです。プラスチックに比べて5倍、違うんですよ。

八木氏
でも、紙とプラスチックがほぼ半々だとすると、資源にはなりませんね。

滝沢氏
はい、混ざっているので、紙としては再生できません。だから、中間業者が手で分けるんですが、それが、厄介なんですよ。でも、法律上はマークを付けなければいけない。
例えば、保冷剤にも、たまに「プラ」マークが付いているものがあります。袋の素材はプラだけれど、中は高吸水性ポリマーだからプラとしては再生できない。なので、僕はこのマークを今後、変えたいと思っています。

伊藤氏
どう変えるのですか?

トークセッションの様子

リサイクルを前提として製品に番号を付けるマシンガンズ西堀さんのアイデア

滝沢氏
僕は「滝沢ごみクラブ」を主宰していて、そこで、「ごみアイデアコンテスト」をしています。そこに僕の相棒の西堀くんが、発明家なので、応募してきたんですよ。僕は名前を見ずに「これ、いいんじゃない?」と言って、それが賞を取ったんです。
西堀くんのアイデアは、まず、製品に付ける「プラ」マークや「紙」マークをやめる。リサイクル料を払うために付けるマークなら、我々(捨てる側)には分からないようなマークにしてもらう。そして、捨てる側である我々のためには、番号を付けるんです。例えば3番とか4番とか5番とか、何でも良いですが、そうしたマークを付ける。
そして、各自治体が、例えばごみパンフレットと呼ばれるものに、「うちの地域では3番と4番はプラで回収します」、「うちの地域はもうプラスチック資源回収をしないので、3番は燃えるごみにしてください」と書く。つまり、製造側も、リサイクルを前提としたマークを考えるべきだと思うのですよ。

八木氏
ものすごく分かりやすいと思います。相方さん、さすがだなぁと思いました。入賞したのですね。

滝沢氏
入賞したんですよ。西堀だと分かって、俺、シャクだなと思って。「相棒にお金渡すんかい」みたいな感じでね。

八木氏
でも捨てているほうからしたら、その通りなんですよ。例えば旅行先でも、「燃えるごみ」「燃えないごみ」などと書いてあることが多くありませんか。そうすると、「うちではプラスチックごみは燃えるごみだけど、燃えないごみで出すところもあるから」と迷うのです。でも、「ここは1番、ここは3番、ここはそれ以外」などと書いてあると分かりやすい。日本全国、どこへ行っても分かります。

滝沢氏
今、外国の旅行者も多いですよね。その人たちは「そもそも、燃やすごみってなんだろう」と思うらしいですよ。多言語で、ごみ分別の表を作っていたりしますが、やはり国によって、ごみの概念が違います。
埋め立てごみは、日本では燃えないごみのイメージがあります。しかし、フィリピンなら、基本的にはごみ山になります。

八木氏
全部、燃えないごみになってしまう。

滝沢氏
だから、僕は、世界共通にするべきだと思います。

八木氏
先ほどの「1番、2番」だったら、世界共通でできる気がしますね。

滝沢氏
外国の方でも「3番はここか」みたいに。

伊藤氏
そうですね。ただ、やはり、プラスチックは焼却も重要なのですよ。焼却時にエネルギーにもなるので、ある程度は燃やさなければいけない。だから、かえっていろいろと費用がかかる。ですから、「あるプラスチックに関しては燃えるごみに入れてください」というのは、非常に重要な話です。

八木氏
すると、表示の仕方が大切ですね。再生に使いたい高品質のプラスチックはこちらで、燃やすごみにするのは1番で、などとすれば。

生ごみ分別の可能性

滝沢氏
伊藤さん、プラスチックをこれから分別していくにあたり、例えば、国内循環させることを目標にするのであれば、燃えにくい生ごみも分別するべきではないのかと、僕は思っています。

伊藤氏
生ごみをどのように分別するのですか?

滝沢氏
基本的には、堆肥にします。生ごみは重いので、あれがなくなるだけでも、ごみ清掃員としてはすごく助かります。ですから、できる地域はそうした拠点回収をしてもらう。
僕は、「100%失敗しないコンポスト」というのをやっています。言ってみれば、先ほどの拠点回収です。そこにバック型の容器で、生ごみを持ってきてもらえば、仕上げ、発酵をやりますよ、ということです。虫が出ても、においが出ても、その土を回収し、新しい土を入れてあげるんです。そうしたことをすると、地域のごみは、僕は減るとは思うんです。

トークセッションの様子

八木氏
正直なところ、やはり回収するほうとしては、生ごみは別であってほしい、ということですね。

滝沢氏
清掃工場を運転する人は、(燃えるごみに)プラを入れて欲しいらしいです。

八木氏
:燃える(燃料になる)から。

滝沢氏
そうです。なので、そのあたりの問題をどうするか。そうなってくると、僕はセットで生ごみも考えたら良いと思っているんです。

八木氏
伊藤先生は未来のごみ回収について、伝えておきたいことはありますか。SIPの取組にもありますが、作る側にもっと理解していただきたいというお話もありますよね。

伊藤氏
ドイツではリサイクラーなどの業者が強く、分別しにくいもの、選別しにくいものに対しては、製品を作る動脈企業にクレームを出せるのです。そして、それに従うことによって、作る側にもインセンティブが与えられる。リサイクラーだけではなくて、実際にものを作っているところが製品を解体しやすいように設計するなど、一体になってやっていくことにより、サーキュラーエコノミーが進んでいくと思っています。

八木氏
まさにその取組が今、SIPで進めようとしているところだと思います。作り手から回収のところまで回っていく。
先ほどメニコンの社長さんのお話の中でも、「要求仕様が分からない」ということが、課題としてありました。これはやはり、「どのように製品になっていくのか」というイメージや、「何がリサイクルしにくいのか」が、今ひとつ伝わっていないのかもしれませんね。

伊藤氏
そこを、きちんと伝えていくための仕組みを作りたいと思っています。また、展示にもありますが、例えば、コンタクトレンズケースは何に使えるのかが分かると、集める意欲が湧くのではないかと思います。

八木氏
そうですね。これが先ほど展示されていたように、車のロアグリルでしたか、それから家電製品、食洗器の一部になるなど、具体的な目的意識みたいものがあると良いですが、滝沢さん、そうした出口が可視化されてはいませんよね。

分別の本来の目的と周知のあり方

滝沢氏
そうなんですよ。分別は「従わなければいけないもの」、「ルールを守る」といったイメージになっています。でも、分別の本来の目的は「ごみを減らすこと」ですからね。要は、可燃ごみや不燃ごみから資源を取り出して、これをもう一回、ちゃんと使うということですから。
でも、ごみパンフレットを渡して、「これで分別してね」と言ったら、もう見るのも嫌になったりしますよね。
それよりも、「これを作りたいから、これを集めたいのです」という周知を、僕はするべきだと思っています。

トークセッションの様子

八木氏
そうですよね。だから今回のように「車のこの部品になるのです。これをしないと、世界に出していけないのです」と、きちんと可視化されていれば良いですね。

滝沢氏
すると、作るほうも「これを作りたいから、この素材で売る」ということも可能になってきますよね。

八木氏
例えば「ちょっと面倒なこの素材を変えてみよう」というアイデアも出て、研究者もよりイメージしやすいですよね。

滝沢氏
「出した後にどうなるか」を想像してもらうことが、一番大事ですね。

伊藤氏
トレーサビリティがもっと発達すると、製品をトレースしたとき、皆さんが捨てたもの、例えば名古屋のどこかで捨てた豆腐容器が使われていたなどと分かるかもしれません。そうなれば、もしかしたら自分のものが使われたかもしれないと思い、嬉しくなりますよね。

滝沢氏
「戻ってきた」という感じですね。

伊藤氏
そうしたものをシステムとして作るのがトレーサビリティのプラットフォームだと思っています。

八木氏
ペットボトルがうまくいったのは、「ペットボトルはフリースになります」などが皆の中に浸透したからかもしれません。今やもう、マンションで回収するときにも「ラベルを剥がしていない人は恥ずかしい」といったことがあります。「恥ずかしい」も大事ですよね。

滝沢氏
集積所の様子は伝染しますからね。「ごみはごみを呼ぶ」と、僕はごみを回収しながら思っています。汚れているところは、さらに汚れます。けれど、綺麗なところでラベルが残ってあったりすると、「ちょっと気持ち悪いな」と思うのが人間なんです。そして、「自分もラベルを付けたまま捨てることは、ちょっとできない」みたいな気持ちになる。自分ひとりがやっても「面倒だな、嫌だな」と思うかもしれませんが、それが意外と、人に影響を与えたりするのです。

八木氏
そう思います。

伊藤氏
それに、ラベルも、昔は貼ってあったので取るのが大変でしたが、今はスッと剥がれます。

八木氏
あれも、だから意識が高まったことで、メーカーさんもラベルを剥がしやすいように工夫してくださっているのですよね。

伊藤氏
それに色も、だんだん白が多くなっているとか、デザインも簡素になってきたとか、そうしたメーカーさんの努力と一緒にやることが、とても大事だと思っています。

八木氏
一度火がつくと、日本はきめ細やかさや真面目さがあるので、早く進みそうな気がするのですが、そのサーキュラーに乗せるのが少し難しい。今日、会場にいらっしゃる方たちは、意識が高い方々だと思いますが、意識が高い人しか、まだそのサークルに入れない感じがあります。そこに、無意識に入れるようになると、もっと良いのかなと思いました。拠点回収もそうですが。

ふたりからのメッセージ

今日はいろいろなお話を伺ってまいりましたが、最後にぜひ、日頃からそうした世界に向き合っていらっしゃるおふたりから、それぞれ皆さんへのメッセージをお願いいたします。

滝沢さんからお願いできますか。

トークセッションの様子

滝沢氏
僕は、ゴールを明確に設定するべきだと思います。例えば、「2050年には石油を使わないようにしよう」といった話があります。そうであるならば、今の段階でプラスチックを燃やしている場合ではないと、僕は思うのです。これを何かに使わないといけない。
生ごみでさえ僕は「ナマ資源」だと思っています。プラスチックは今「資源にしましょう」となっていますが、やはり、ごみと資源の区別を、まずは広めなければいけないと、僕は思います。
結果的に、「これを作りたいからこうしましょう」、「これを集めたいです」といったことが、これからの周知活動になってくる、そこが僕はポイントだと思っている次第です。

八木氏
大事だなと思うことがいっぱいあります。滝沢さんと一緒に仕事をした知り合いのスタッフが、滝沢さんが、「50年後にはごみが捨てられなくなるよ」とおっしゃって、それにすごくショックを受けて意識が変わったと言っていました。

滝沢氏
恐ろしいことを言うと、日本全体の平均では24.8、つまり25年後には、ごみが捨てられなくなるかもしれません。

八木氏
そう。かなりな段階まで来ているのですよね。

滝沢氏
はい。次の世代にバトンタッチするのに「あと25年ぐらいでごみが捨てられなくなります」という段階なので、我々がどうやってごみを減らすかを考えなければいけないと、僕は思っています。

八木氏
そうですよね。今日の伊藤先生のお話でも、お尻に火がついている感じが伝わってきましたが、伊藤先生もぜひ、皆さんへのメッセージをお願いします。

伊藤氏
海外を見ていて思うのは、日本はやはり非常に特殊な国だということです。物を大切にします。「ごみ」という言い方をやめたほうが良いと思っています。

滝沢氏
分別すれば、「ごみ」という言葉はなくなりますからね。

八木氏
ごみをなくさないといけないのですよね。全部「資源だ」と。

伊藤氏
日本がそれをすることによって、「世の中にあるのはごみではなく、全部資源なのだ。それを大切に扱おう」という文化になる。それが世界的な話になるのではないかと思います。
残念ながら日本はプラスチックに関して言うと、かなりの後進国と思われています。しかし、それは違うと思っています。その意味では、このSIPの中で、ロールモデルやユースケースを作って、世界に発信していきたいと思っております。

トークセッションの様子

八木氏
ありがとうございます。かくいう私も、こうしていつも大変なお話を伺いながら、スーパーに行くのが面倒だからと、つい、ごみに入れてしまったり、生ごみをそのまま入れてしまったり。日頃の生活の中で、申し訳ないと思うことがいっぱいありました。改めてこの機会を設けていただいて、おふたりからもいろいろとお話を伺って、意識が、と言いますか危機感が高まりました。
皆さんも、今日聞いていただいた上でアイデアを出し合って、ぜひ、未来について考えていく機会にしていただければと思います。
おふたりはすごく盛り上がってらっしゃるので、この先、もしかしたら伊藤先生が滝沢さんのYouTubeに出演されて、また話が盛り上がるかもしれません。

滝沢氏
ぜひ、お話を伺いたいです。

八木氏
そうした機会がありましたら、ぜひチェックしていただけたらと思います。
伊藤さん、滝沢さん、ありがとうございました。皆さん、ありがとうございました。