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地球環境基金便り No.47 (2019年9月発行)

巻頭インタビュー
大畑大介さん

手を取り合って、次の世代へつなげる
それがスポーツと環境保全の共通点

大畑大介さん

日本を代表するラグビー選手として、度重なるけがに見舞われながらも不屈の精神で克服し、数多くのトライをあげてきた大畑大介さん。2019年9月から日本で開催されるラグビーワールドカップのアンバサダーに就任している大畑さんにラグビーへの思い、そしてご自身の経験から考えるエコ活動について伺いました。

自分自身を知り、プラスの可能性を広げる

僕にとってラグビーは大畑大介という人間を表現するための武器です。僕は子どものころ、人と接するのが苦手で、うまく友達の輪に入れませんでした。でも、友達はほしい。自分から寄り添っていくことができないなら、自分自身がみんなから興味を持ってもらえるような人間になろうとベクトルの方向を変えたんです。みんなが知らないものをやれば、すごく気になるじゃないですか。それで、80年代当時は、ラグビーブームで盛り上がっていて、父もやっていたラグビーに挑戦してみようと。すると少しずつラグビーを通して自分を表現することができるようになり、友達もできました。

この考え方は、現役時代はもちろん、今でも活きています。僕のラグビー人生は決して順風満帆ではありませんでした。そもそもラグビー選手としては体が小さいですし、それが理由で試合に使ってもらえないときもありました。大会の直前に大けがをしたこともあります。しかし、何が起きても、その悔しさをバネにしたり、前向きになれる何かを探したりと、ポジティブな行動につなげていくんです。まずは自分自身にベクトルを向けて、自分を知る。そして、自分の長所を理解し、可能性を広げられる行動を選択していけばいい。人生に失敗や失望はつきもの。それをどうプラスにするかが大切です。

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2度のアキレス腱断裂という大けがを乗り越え、ラグビー界の顔として活躍し続けた

自分の目で見て感じたことが本物の魅力

9月20日から日本で初めてラグビーのワールドカップが開催されます。よく「ラグビーの魅力とは?」と聞かれるのですが、これがなかなか難しい(笑)。ひとことで言えば「多様性」があるということでしょうか。足が速い人、力がある人などがいて、選手のポジションやキャラクターによって役割が多種にわたるスポーツって、ラグビーならではだと思います。ラグビーにはスポーツの魅力が全て詰まっているといっても過言ではないですね。

今回のワールドカップは日本ラグビー界にとって、大きな意味のある大会です。アジアで初めて開催されるので、世界に向けて「日本のラグビーはこんなに盛り上がってるんだぞ」ということをアピールしたいです。ワールドカップは北海道から九州まで12会場で開催され、全国津々浦々でスポーツの熱気を感じることができます。「スポーツはおもしろい」と感じてもらえれば、翌年の東京オリンピック・パラリンピックに熱気をつないでいけると思います。成功を収めればラグビーが、そしてスポーツ全体がより文化として形成されていく、そういったことからすごく重要な大会です。

その中で、アンバサダーとしての僕の役割は明確で、ラグビーの裾野を広げることです。「多様性」があるからこそ、これからラグビーに初めて触れる人は、まっさらな気持ちで見てほしいですね。その人なりの楽しみ方や魅力を見つけられるはずです。僕がそのきっかけになれるよう頑張っています。

写真2

「次世代のラグビー選手のために明るい道筋を残していきたい」と語る

一人ひとりが意識をもち、
ひとつ行動するだけで変わっていく

同じ目標に向かって協力していくことが大切

日本ラグビーフットボール協会は、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。スポーツマンシップを通じた環境保全活動である「TRY for GREEN」プロジェクト(注)では、08年から森林保全活動への寄付を行っています。

個人的に環境保全の話で最近気になることは、ゴミ問題です。特に普段よく手にするビニール袋をどう扱うべきかということが気になります。自分たちの普段の行動が原因で、ビニール袋が海に流され環境に影響が出てしまう…。逆にいえば、自分たちの意識や行動次第では、ある程度、防ぐことができる問題だと思います。それならば、積極的に取り組んでいくべきです。僕もコンビニやスーパーなどでは、ビニール袋を極力もらわないようにしています。背伸びせず、一人ひとりの役割を果たしながら、手を取り合って協力する。そして、これから5年、10年と次の時代につなげていく。集団の中で自分に何ができて、どう活かしていくか、これは、スポーツにも、そして環境保全にも当てはまることですよね。

(注)ジャパンラグビートップリーグの試合で1トライにつき、トライをしたチームとラグビー協会の双方で寄付をするプロジェクト。

大畑大介(おおはた だいすけ)

1975年大阪府生まれ。小学3年生からラグビーを始める。神戸製鋼などに所属し、快足を活かしてトライを量産する姿は「世界の翼」と称された。W杯に2度(1999、2003)出場を果たし、代表試合トライ数世界新記録を樹立(69トライ)。2011年に現役を引退し、現在は、9月から行われるラグビーワールドカップ日本大会のアンバサダーに就任。テレビ番組でコメンテーターとしても活躍している。

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