本文へ

地球環境基金便り No.47 (2019年9月発行)

NGO・NPOで輝く人 Key Person
特定非営利活動法人パルシック 代表理事
井上 礼子さん

地域をつなぐ、そして世代をつなぐ
架け橋になるために

井上 礼子さん

「地球上で暮らす人と人が国家の壁をこえて、直接助け合う、支え合う世界をつくりたい」と話すのは、パルシック代表理事の井上礼子さん。1990年代から、アジア圏を中心に開発途上国や紛争地域での支援活動を行ってきた井上さんですが、実は最初から国際支援の現場に立つ志があったわけではないと言います。「私が学生の頃はベトナム戦争の時代でしたので、アジア圏の情勢には関心がありました。しかし、具体的に行動することはなく、パルシックの母体であるアジア太平洋資料センターには、翻訳や編集の職で就職しました。意識が変わったのは、92年の地球サミットです。これから世界的にNGOの果たす役割が重要になっていくと感じました。そして99年に、東ティモールでインドネシア軍による暴行で多くの命が失われたというニュースを見たとき、こんな理不尽なことは放っておけない、何とかしようと立ち上がったのが国際支援の現場に立つきっかけでした」と話します。

写真1

井上さんは現在、東ティモールのコーヒー生産者支援、スリランカの内戦復興支援、パレスチナ支援などに関わる

現在、パルシックでは、地球環境基金の助成を受け、パレスチナで循環型社会の構築を目指す支援を行っています。パレスチナは検問所が多く、コミュニティーは細かく分断され、点在しています。その中ではゴミ処理の循環システムが構築されておらず、不法投棄が大きな問題になっていました。コミュニティーにリサイクルや堆肥づくりなどの循環システムを導入しましたが、文化的、習慣的な面から、現地の女性たちに受け入れてもらえず、苦戦した時期もあったと言います。「希望の光となったのが、事業に参加してくれたたくさんの現地の子どもたちでした。地域の将来を担う子どもたちが環境に関する理解を深めて、愛着をもってもらうことで地域全体が変わっていきます。新しいことを学び、喜ぶ子どもたちの希望に満ちた笑顔が忘れられません。」

写真2

現地の子どもたちが事業に積極的に参加してくれたことで、地域が盛り上がっていった

今後、地域で問題が起きたときは、市民がお互いに助け合えるような国際的なネットワークをつくりたいと井上さんは展望を話します。また、自身の経験を若い世代に伝えていくことにも力をいれ、パルシックでは大学と連携し、学生に外国語、文化、環境を現地で学んでもらえるような研修を行っています。「困っている地域で支援をし、希望をもってもらう。持続可能な関係性にしていくためには、お互いが理解し合い、助け合える対等な関係が理想です。助け合えるネットワークを世界に広げていくために、若い世代に向けて地球環境の大切さを伝えていくのが私の使命だと思っています。」

写真3

支援の現場に赴き、現地スタッフのために研修を行っています。現地スタッフが来日し、研修を受けることも

プロフィール

井上 礼子 さん

1980年に世界からの情報の収集や発信などを行っているアジア太平洋資料センターに入職。2008年からは同センターの民際協力部門であるパルシックの発足に携わる。

No.47 トップページへ

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Lineでシェア

地球環境基金の公式SNS

  • 地球環境基金 インスタグラム(別ウィンドウ)
  • 地球環境基金 Twitter(別ウィンドウ)
アドビ公式サイト(新しいウィンドウで開きます) adobe readerダウンロード
PDF形式のファイルはadobe readerが必要です。

地球環境基金 Japan Fund for Global Environment

〒212-8554 神奈川県川崎市幸区大宮町1310番 ミューザ川崎セントラルタワー
独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金部
TEL:044-520-9505 FAX:044-520-2192

独立行政法人環境再生保全機構 ERCA

Copyright, Environmental Restoration and Conservation Agency. All rights Reserved.

ページトップ