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地球環境基金便り No.50 (2021年3月発行)

NGO・NPOで輝く人 Key Person
水Do!(すいどぅう)ネットワーク 事務局長
瀬口 亮子さん

社会のしくみをつくり
「使い捨てないこと」を当たり前に

瀬口 亮子さん

「地球は有限です。どうすれば使い過ぎを抑制して、地球から取り出す資源を最少化できるのか?との思いで『脱使い捨て』の活動を始めました」と話すのは、水Do!ネットワーク事務局長の瀬口亮子さん。瀬口さんが本格的に活動を始めたのは、国際環境NGOのFoE Japanの職員のときです。ファストフード店の使い捨て容器を削減するため、店内のマグカップやグラスなどのリユース容器の利用を働きかけました。次にレジ袋の削減、そしてペットボトル飲料の削減へと対象を広げていきました。しかし、レジ袋と違い、商品であるペットボトル飲料を削減することは簡単ではありませんでした。「FoE Japanで行った海外調査から、欧米ではペットボトル飲料の替わりに水道水を活用する取り組みがいくつもあることが分かりました。これを参考に、日本でもペットボトル飲料削減のために水道水の飲用を推進する『水Do!キャンペーン』を開始しました」と話されます。2014年には賛同する団体と協力して「水Do!ネットワーク」を設立。全国に活動を広げていきます。

写真1

海洋プラスチックごみ、地球温暖化、熱中症などの問題を、わかりやすく伝える紙芝居を制作。全国キャラバンで披露し、人々に行動変化を呼びかけた

ペットボトルはリサイクルされるので環境への負荷が少ないと思っている人も多いようですが、ペットボトル飲料は、その生産、輸送、冷蔵販売などトータルでみると多くの資源とエネルギーを消費します。外出先でペットボトルに入った水を買って飲むのと、マイボトルに入れた水道水を飲むのとでは、CO2の排出量に30倍以上も差が生じるという試算があります(注)。このような根拠となる具体的なデータを多くの人に知ってもらうことは、ペットボトル飲料の利用を減らすために大切です。フォーラムの開催や全国キャラバンでの周知啓発で活動への関心が徐々に高まり、2019年からは水道水を活用するための給水スポットづくりに焦点を絞って、全国に給水スポットを広げるためのプラットフォーム「Refill Japan」を立ち上げました。WEBサイトに全国の給水スポットの設置場所や詳細が確認できるマップを掲載するなど、全国共通で使用できるツールを制作し、自治体や団体、企業に参加を呼びかけています。

「人の行動を変えるには、普及啓発だけでは限界があります。給水スポットを設置することで、人々が自然とそこで水道水をくんで飲むようになる。こうしたしくみや環境をつくることが重要です」。人の行動が変わり結果が変わるのを見ること。それが、瀬口さんのモチベーションとなっています。「使い捨てないことが当たり前の社会になるよう、これからもさまざまな活動を進めていきたいです」

(注)
東京大学 平尾雅彦研究室による試算
写真2

Refill Japanが日本で初めて導入した水道直結式仮設給水機。イべント会場などで多く人々が水をくみ喉を潤すことができる

プロフィール

瀬口 亮子(せぐち りょうこ)さん

国際環境NGO FoE Japan職員を経て、現在、水Do!ネットワーク事務局長。「脱使い捨て」をテーマに発生抑制の調査研究や政策提言、普及啓発の活動を行う。著書に『「脱使い捨て」でいこう!』彩流社。

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