地球環境基金便り No.51 （2021年9月発行）
1907年の創業以来、児童図書の出版や保育用品の製造・販売を通じて、子どもたちの健やかな育ちを支えてきたフレーベル館。
同社は2020年にSDGsの取り組みの一環として「本でこどもの未来を守るキャンペーン」を行いました。今回はこのキャンペーンを実施した背景や地球環境保全に対する思いについて伺いました。
誰もが知っている「アンパンマン」シリーズや「ウォーリーをさがせ！」シリーズなどの児童図書の出版や、保育施設向けの遊具や教材の販売をしているフレーベル館。それ以外にも子ども向け室内遊び場や子育ち支援サイトの運営など、同社の企業理念である「子どもたちの健やかな育ちを支える」に基づく事業を幅広く展開しています。
子どもたちや、子どもたちを取り巻く環境を大切にする思いからスタートした「本でこどもの未来を守るキャンペーン」について、同社取締役メディア事業部長の中野正之さんは次のように話します。
「このキャンペーンは、2020年1月から12月までの1年間、全国の書店で販売された当社の書籍の売り上げの一部を地球環境保全のために地球環境基金に寄付するというものです。当社は紙の書籍を出版、販売する事業を行っていますので、地球環境保全への取り組みは欠かせません。さらに読者である子どもたちに、よりよい地球環境を残していきたいという強い思いもあり、社業を通じて貢献できることを探し、SDGsの達成に向けた取り組みの一環として企画しました」
しかし、2020年2月頃から、新型コロナウイルス感染症が広がり始めます。「キャンペーンをスタートして間もなく、感染の拡大と時期が重なってしまいました。外出自粛等の影響により、書店で書籍を手にする機会が減ってしまったため、この取り組みを広くみなさんに知っていただくことは簡単ではありませんでした。しかし、キャンペーンに賛同される多くの声や、地球環境と子どもたちの未来を守りたいという強い思いが、キャンペーンを推し進める力となってくれました」と中野さんは当時を語ります。
フレーベル館が2020年1月から12月までの1年間に、書店で販売した同社発行の全書籍売り上げの一部を、地球環境保全のために地球環境基金に寄付。寄付金は地球環境基金を通して、環境保全活動を行う民間団体への助成・振興事業のために役立てられる
「プロから学ぶ修理ずかん」シリーズは、子どもにもできる、プロに聞いた修理方法を紹介。物を大切に使おうという気持ちが養える
また、同社では書籍を通じて、子どもたちの環境に対する関心を高める取り組みも行っています。「中でも『プロから学ぶ修理ずかん』シリーズという学校の図書館向けの本が好評です。物が壊れたらすぐに捨てて、新しい物を購入すると、地球環境に負荷がかかるということを知るとともに、壊れても修理したり、リサイクルしたりすることの大切さを学ぶための本です。書籍を通じて子どもたちにもSDGsの目標の一つである『つくる責任 つかう責任』という考え方が浸透していくことは大変うれしいです。未来を担う子どもたちが、小さなころから環境に関心を持つことは、これからの地球環境保全に重要なことだと思います」と中野さんは話し、今回のようなキャンペーンや書籍による取り組みにより、未就学児や小学生の環境への意識がより一層高まることにも期待されていました。
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