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地球環境基金便り No.51 (2021年9月発行)

巻頭インタビュー
イルカさん

肩ひじはらず、私らしく、地球環境の
ためにできることを続けていく

イルカさん

「なごり雪」「まあるいいのち」など世代を超えて愛される名曲を数多く歌い、今年、デビュー50周年を迎えたイルカさんは、IUCN(国際自然保護連合)親善大使を務めるなど、数々の環境活動にも取り組まれています。

シンガーとして多くの人に自然や生き物の大切さについてメッセージを送り続けるイルカさんに、その活動の原点や取り組みへの思いを聞くとともに、環境保全に取り組む人たちへエールをいただきました。

実は私、子どものころはアフリカで野生動物を救う仕事をしたいと思っていたんです。それがなぜシンガーソングライターになったのか自分でも不思議ですが(笑)、生き物も自然も大好きな子どもでしたね。

日本では60年代後半ごろから「公害」が問題になり、私ももちろん知識としては知っていました。ただそれを自分の問題として意識し始めたのは、結婚して主婦になってからです。主婦として一家の台所を任されたとき、そして近い将来、子どもを産み育てたいと思ったとき、環境問題が本当に自分の身近なものだと気づいたんです。この食べ物は安全なの? 汚れがよく落ちる強力な洗剤は便利だけれど、排水はどこへ流れていくの?って。だから私は、今でもよく「お台所から地球が見える」「家庭の台所を預かる人は地球の源を握っている」と言います。子どもたちの未来を明るいものにするためには、私たち大人がちゃんと考えて暮らすことが大切です。そのために私は「丁寧に暮らそ!」を提唱し、実践しています。

IUCN親善大使として歌を通して環境の大切さを伝える

プロとして歌を歌うようになってからも、私のなかにはずっと生き物や自然への愛や地球環境への問題意識がありました。歌はもちろん絵本やエッセーなどでもその思いを込めた作品を発表していたところ、2004年に外務省からIUCN親善大使のお話をいただきました。野生動物を救う仕事には就けなかったけれど、別の形で地球環境に貢献できるなら、とお引き受けしたんですが、就任記者会見後にびっくり。IUCN日本委員会にはオフィスがなく、スタッフもたった一人でした。資料も英語版しかなかったので、IUCNを知ってもらうために、まず日本語版のパンフレットを作るところから始めました。

そんなゼロからのスタートでしたが、だからこそ私のやりたいように、私のスタイルでやれると思い、俄然やる気が出ました。「環境活動」というと難しく感じる人もいるかもしれませんが、肩ひじはらずに、みんなに親しんでもらえる活動をしていきたい。そう考えたとき、やはり私はシンガーとして、歌を通じてIUCNや環境問題について伝えたいと思い、環境保全をテーマにしたコンサート「イルカwith Friends」を企画。05年に第一回を開催して以来、毎年恒例となり、15回を数えるまでになりました。昨年、今年は開催できませんでしたが、また開催してほしいという声をたくさんいただいているので、来年以降、何らかの形で続けていきたいですね。

写真1

2014年、山梨県富士河口湖町で開催された「イルカwithFriends」の様子。「この気持ちのいい空間を共有したい」と毎年訪れるお客さんが多いという。また同コンサートには毎年多くの環境NGO・NPOがボランティアで参加している

地道な環境保全活動の一つひとつが
地球の未来を明るくしてくれる

日本全国の多くの環境活動が未来を明るくしてくれると期待

ほかにも環境省中央環境審議会自然環境部会の専門委員や国連生物多様性の10年日本委員会委員などもやらせていただいています。その多くが大学教授など専門家の集まりですが、そんな場でも私はシンガーであり、主婦であり母であることを大切にしています。その目線こそが、私が参加する意味だと思っています。専門家の方々が研究やデータを基に発言されるところに、私が日常生活からの視点で話すことで、少しでもお役に立てればと使命感に燃えています。

こうした活動をしていると、環境NGO・NPOの方々と知り合う機会も多いですね。彼らと話していつも感じるのは、みなさん驚くほど熱心だということ! 熱意の塊のような人たちばかりで、頭が下がる思いです。日本自然保護協会が主催する日本自然保護大賞の審査員もやっていますが、ここに応募されてくる環境保全活動もまた、どれも素晴らしいものばかりです。地道な活動を何十年も続ける方、工夫して楽しみながら活動するお子さんなど、環境保全のためにこんなにがんばっている人たちが日本全国にいると思うとうれしくなってきます。こうした一つひとつの地道な活動が、きっと地球をよい方向に導いてくれると期待しています。

着物作家としても活動するイルカさん。生物多様性やレッドリストをテーマにした手描きの着物で、毎回、世界自然保護会議のステージに立っている。「日本の伝統的なモノづくりのほとんどは後継者不足で、レッドリストに掲載される野生動物のように絶滅の危機にあります。伝統的な文化の源は、美しい自然や生き物。だからこそ私は、環境保全と伝統的なモノづくりをつなげたいんです」

イルカ

1950年東京都生まれ。女子美術大学に在学中にフォークグループを結成、74年ソロデビュー。75年「なごり雪」が大ヒットし、シンガーとしての地位を確立する。80年には女性シンガーソングライター初の「日本武道館」公演を成功させ、50周年を迎えた現在も毎年全国ツアーを続けている。絵本やエッセーなど書籍も出版し、自身の作品や活動を通じて「私達は皆、この地球という大きな生き物に住む、細胞同志である」というメッセージを伝え続けている。

読者プレゼント

アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で3名様にイルカさんのサイン色紙をプレゼント。巻末はがき、またはWebよりご応募ください。当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。

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