本文へ
地域循環共生圏 No.55 2023年9月発行

地球環境基金便り No.55 (2023年9月発行)

地域循環共生圏

総括インタビュー

多種多様な価値をもつ自立した地域が未来の力になる地域循環共生圏

「地域循環共生圏/ローカルSDGs」とは、地域の多様な魅力を最大限に活用しながら環境・社会・経済の同時解決を目指す、新しい考え方です。
それぞれの地域が固有の価値を活かし持続的に自立するためにはどうすればいいのでしょうか?地域活性や環境ビジネス支援の専門家である、見山謙一郎先生に伺いました。

自由な発想でそれぞれの「地域資源」を見い出すことから始めましょう

持続可能であるために自分たちで考える

 地域循環共生圏とは、それぞれの地域が自分たちのもっている固有の価値=「地域資源」を活かし、多様な主体と連携しながら自立し、その地域資源をほかの地域とシェア・循環させることで、支え合う社会を目指す考え方です。
 発想の起点が地域資源であるため、その地域ならではの特性を活かしたビジネスや、地域固有のさまざまな価値に彩られた豊かな暮らしが生まれる可能性を秘めています。地域資源は自然資源に限りませんが、地域の歴史・文化・経済・社会の土台には風土があり、自然環境を考えることは、持続可能な地域の成長に欠かせないでしょう。
 この考えの根底には、都市への一極集中の是正という課題が横たわっています。都市と地方、どちらも、ひとつの地域ではありますが、地方には人口減少など持続可能性への危機感があります。一方、都市は地方の地域資源によって支えられていることを強く意識しなければなりません。社会はそもそもつながっています。どの地域の誰であっても、持続可能な地域の活性化、地域循環共生圏と無関係ではないのです。
 では、どうしたら持続的な地域をつくれるのでしょうか?経営学におけるビジネスの4大資源「ヒト・モノ・カネ・情報」の循環がひとつのヒントになります。これを地域循環共生圏に当てはめると、モノが「地域資源」にあたります。左ページのように、さまざまな地域の価値が地域資源になり得ます。この時、外部の視点を取り入れつつも、地域住民が自らで地域資源を掘り起こす、内発的取り組みが重要です。

地域資源はじつに多彩
まずは立場を越えた対話から

 岩手県一関市の「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」では、中尊寺金色堂を擁する隣町・平泉の黄金文化の歴史的ストーリー性と、市内で廃棄された使用済小型家電から回収される金属を、地域資源と捉え、東京2020オリンピックの金メダルをつくることを計画。東北地方で小型家電リサイクル法の認定事業者がある青森県八戸市・秋田県大館市と連携し、プロジェクトを実らせています。
 このように、何を地域資源として活かすかはアイデア次第です。自由な発想は、肩書きを越えた「対話」から生まれます。大切なのは「Why」。なぜこれをやるのか?です。SDGsや脱炭素は手段であり、目的は地域が持続可能になること。それこそが地域循環共生圏が目指すものです。「Why」に立ち戻りながら考え、対話を繰り返していけば、きっと自分たちの地域の価値、地域資源を活かした取り組みへとつながっていくはずです。

地域循環共生圏のはじめの一歩は、地域の活性化と自立です。
4大資源を循環させるために、まずはみんなで集まって、本質的な価値に気づくための対話から始めてみませんか?

お話を伺ったのはこの方

事業構想大学院大学
特任教授

見山 謙一郎さん

専門は社会課題起点の経営学。環境省(地域循環共生圏)、総務省(地域政策)、林野庁(林業イノベーション)、地方自治体などの有識者委員をつとめる。(株)フィールド・デザイン・ネットワークス代表取締役CEO。

特集トップへ

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Lineでシェア

地球環境基金の公式SNS

  • 地球環境基金 インスタグラム(別ウィンドウ)
  • 地球環境基金 Twitter(別ウィンドウ)
アドビ公式サイト(新しいウィンドウで開きます) adobe readerダウンロード
PDF形式のファイルはadobe readerが必要です。

地球環境基金 Japan Fund for Global Environment

〒212-8554 神奈川県川崎市幸区大宮町1310番 ミューザ川崎セントラルタワー
独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金部
TEL:044-520-9505 FAX:044-520-2192

独立行政法人環境再生保全機構 ERCA

Copyright, Environmental Restoration and Conservation Agency. All rights Reserved.

ページトップ