本文へ
特別号 地球環境基金は30周年を迎えました No.56 2024年3月発行

地球環境基金便り No.56 (2024年3月発行)

若手PL研修の修了生に聞きました

研修が今、多くのステークホルダーとの対話に役立っています

 NPO法人「環境・持続社会」研究センター(JACSES)は、将来にわたって公正かつ持続可能な社会を創るため、調査研究・政策提言・情報提供・教育普及活動をおこなっています。昨年度のG7サミットでは日本が議長国でしたが、NGO・市民社会として国内外のNGOと連携し、政策提言をおこないました。こういった活動を通して、団体の対外的な認知度も向上してきたと感じています。
 若手PL研修では、合意形成や広報・マーケティングについて、自分の話を伝えたり、相手の話を引き出したりするロールプレイングをよく覚えています。いろいろな場面・立場のロールプレイングを通して、自分の苦手な部分が見えました。そうした練習の積み重ねは、いま多くのステークホルダーと対話する場面でとても役に立っています。また、研修生の活動分野が幅広く、そこでこそ出会えた人も多かったです。中堅になったいまでもお互いに状況をシェアしたり、同期が載っている新聞記事を見つけた際は共有してお互いの活動を応援し合ったりしています。NGO・NPO業界は若い層がまだまだ薄いので、頑張っていけるように支援を継続してください。卒業した中堅にも、また勉強できる機会を提供いただけると嬉しいです。

「環境・持続社会」研究センター
(JACSES)
遠藤 理紗さん

 私たちのようなアドボカシー(政策提言)に取り組む団体から地域・現場に根付いて活動する団体まで、幅広い団体を長く継続して育ててくれる国内の基金は本当に貴重だと思います。いろんな形で共に頑張る仲間が増えると嬉しいので、大きな団体だけでなく、小さいけれど地域でキラッと光っている団体も発掘し、これから50年100年と支援を続けてほしいと思います。
 7年後の2030年は環境分野においてまさにビッグイヤー。SDGsの目標年であり、日本がG7の議長国です。「市民社会を何とか強くせねば」「NGO・NPO業界の底上げを」と関係者の方々と少しずつ話し合いを始めています。
 地球環境基金と同じく93年に設立されたJACSESも30周年を迎えました。今後も気候変動分野だけでなく、「環境xジェンダー」など他分野と連携し相乗効果をだしながら、SDGsやパリ協定の達成に貢献できるよう日本の政府関係者への情報・提言を発信していきます。さらに、企業・研究機関・NGOなどの現場がもっと進みやすくなるシステムチェンジを起こすべく、活動していきたいと思います。

研修を通して活動に「数字」「広報」「協働」の意識が加わった

 NPO法人隠岐しぜんむらは隠岐諸島の海士町で自然保全を目的として活動しています。活動の柱は3つ。1つめは必要な保全内容を知るための生物調査、2つめは調査結果を広め環境保全への意識の向上を図る環境教育、最後はこの島の人の生活と自然のつながりを知ってもらうための自然体験やエコツアーの実施です。現在は主にツアーガイドを担当していますが、生物調査も実施し、それを活かした高校生以上への環境教育にも関わっています。

隠岐しぜんむら
福田 貴之さん

 私は若手PL研修に参加するまでは、組織や事業のビジネス構造を深く考えたことがなく、思いだけで活動していたように思います。費用対効果や利益といった数字に疎く、活動上とても重要な広報のこともよくわかっていませんでした。研修で、自団体の組織分析や自己分析を学び、これだけの利益を生むためにはこれだけ頑張らないといけないとか、自団体の足りないものを協働することで補っていこうとか意識するようになり、事業をうまく回せるようになったと思います。広報についても、対象者の分析をしてターゲット層別に戦略的に進めることができるようになりました。研修で身についた内容が今の仕事の進め方にとても役に立っています。

 若手にとって、研修は一旦立ち止まって業務を振り返るいい機会になります。同じような環境で働く仲間と話すことでわかることもあります。研修修了後もお互いに情報交換をしたり、相談し合ったりと学ぶ場としてだけではなく、同じ業界の横のつながりができる場という意義もありました。
 また、今年度は後輩である8期生のフィールド実習を受け入れました。良い先輩の姿を見せたい!というプレッシャーはありましたが、実習テーマの「協働」を通して、島に残る昔ながらの人付き合い、仕事だけの関係性ではなく、地域に根差し、一緒に楽しんで活動することの重要性を伝えたいと思い行程を組みました。その点を伝えることができたので、ミッションは達成できたかなと思っています。実習は自分にとっても改めて先方との関係性を見直すいい機会となりました。
 NPOはどうしても資金面に不安がある団体が多いため、助成を受けることで活動を発展させることができます。地球環境基金の支援のおかげで発展した団体が多くあると思います。これからもNPOに対する支援を継続してほしいと思います。
 海士町に移住して10年。これまで地元の方々と築いた信頼関係のもと、これからも隠岐諸島の自然保全活動を進め、人と自然が共生できる持続可能な考え方を全国、世界へと広めていきたいです。

最新号へ

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア
  • Lineでシェア

地球環境基金の公式SNS

  • 地球環境基金 インスタグラム(別ウィンドウ)
  • 地球環境基金 Twitter(別ウィンドウ)
アドビ公式サイト(新しいウィンドウで開きます) adobe readerダウンロード
PDF形式のファイルはadobe readerが必要です。

地球環境基金 Japan Fund for Global Environment

〒212-8554 神奈川県川崎市幸区大宮町1310番 ミューザ川崎セントラルタワー
独立行政法人環境再生保全機構 地球環境基金部
TEL:044-520-9505 FAX:044-520-2192

独立行政法人環境再生保全機構 ERCA

Copyright, Environmental Restoration and Conservation Agency. All rights Reserved.

ページトップ