地球環境基金便り No.58(2026年1月発行)
2024年「くまもとSDGsアワード」未来づくり部門で大賞を受賞した「次世代のためにがんばろ会」。地球環境基金は2013年から通算11年にわたり、その活動を助成しています。地域に変革をもたらし、成果を創出し続ける活動の様子を代表の松浦さんに伺いました。
熊本県八代(やつしろ)地域は、日本三大急流のひとつ、球磨(くま)川の河口にあります。八代平野の広大な干拓地や豊かな干潟は、国内有数の農業地帯であり、地域の宝です。
私たちは「官・学・民・産の連携」を掲げ、およそ四半世紀にわたり、河川、海辺、水をテーマに環境活動を続けてきました。多様な分野の人たちとのつながりは活動のカギです。発足当初の主活動であったカキ殻を使った河川浄化活動では、地元の漁協、八代市環境課、近隣の小学校と連携。浄化活動を「かき殻まつり」と名付け、誰もが参加できる恒例イベントにしたことで、地域に根付いていきました。
2004年から続くごみ拾いも同様で「八代海河川・浜辺の大そうじ大会」と銘打ち、地元の高校生や地域の企業、八代野鳥愛好会や八代植物友の会のメンバーにも参加いただきました(地球環境基金の助成期間〈2018・2019年〉)。年々、参加者が増加し、約800人が集まり、拾うゴミが足りない年もありました。
現在注力している干潟再生活動では、国土交通省と協働し、毎月、生き物調査を実施しました。年間450人あまりが調査に参加し、「干潟フェスタ」には約250人が来訪。干潟の愛称を全国募集したことで八代地域をアピールすることもできました。
このほか、地元小中高校での出前授業、東京大学教授、内閣府官房らを招いた講演会やワークショップなども随時実施しています。
それは「厚かましくお願いに行く」「すぐ行動する」からです。
例えば、学校なら、一校一校に手紙を送り、会いに行き、想いを直接伝えて回ります。イベントでは「一緒にやらなければもったいない!」と思った人たちにはどんどん声をかけ、現場で知り合いを紹介し合い、人と人とをつなげてきました。
環境活動にあまり縁のない地元の60~70代の女性たちにも「イベントで豚汁をつくって!」と、食を通じて関係者になってもらい、つながっていきます。そうして関心が薄い層や幅広い世代もゆるやかに巻き込み、地域のこれからを“自分ごと”として感じてもらえるよう、輪を広げ続けてきました。
大学教授に講演を依頼する時も、ご近所さんに豚汁づくりをお願いする時も同じく、一度お願いしたら信頼して「まかせる」のがモットー。周りからは「ムチャぶり」とも言われますが“自分ごと”にしてもらうために、余計な口を出さないことが大切です。それと、協力いただいた方たちへの、感謝のハガキも忘れません。
5年ほど前、大そうじ大会に参加した高校生たちが「来年はスタッフで入りたい」と言ってくれました。これをきっかけに、地域の6校の生徒が集まり誕生したのが、高校生チーム「エコユースやつしろ」です。現在、中学生から大学生まで150人以上のメンバーがいます。
2022年に熊本で開催された「アジア・太平洋水サミット」では、メンバー18人が国際的な舞台にも立ちました。大そうじ大会の企画・運営も今では高校生たちが中心。ごみ拾いや生き物調査などを行う「生き物潟(がた)りフェスタ」へと成長しています。地元のラジオ「FMやつしろ」でもメンバーが定期的に情報を発信しており、ラジオを聴いて加入してくる学生もいます。そんな高校生チームと一体になった、広がりのある活動が評価され「くまもとSDGsアワード」の未来づくり部門大賞をいただきました。
活動開始からまもなく25年が経ちます。これまで育んできた、人と人とがつながっていくこの活動の仕組み、多様な活動を、若い世代にしっかり引き継いでいきたいと思っています。
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