地球環境基金便り No.58(2026年1月発行)
森林課題対策と自然エネルギー普及を同時に叶える、木炭蓄電器を使った地産地消型のエネルギーシステムの普及に取り組んでいる「クラス・フォー・エブリワン」。森林大国の日本にとって木炭蓄電器は、地域脱炭素の新しいモデルとして可能性を秘めています。取り組みの現在地を紹介します。
きっかけは地元の山林のナラ枯れでした。ナラ枯れ被害は日本各地でも急増しており、ナラ材の活用手段として「木炭蓄電器」に着目。これを要とする、地域の森林で伐採→地域の住民で木炭蓄電器を製造→ソーラー発電と連動、という地産地消型エネルギーシステムの構築に取り組んでいます。
木炭は高温処理すると活性炭になり、電気をためられます。リチウムイオン蓄電池などに比べると蓄電量は少ないですが、水に濡れても傷まない高い耐久性が特長です。
木炭蓄電器は、水に強く、定期メンテナンスも不要。屋外利用に適しているため電気柵でも活用。
実用化に向け、獣害に悩む農家の畑の電気柵に木炭蓄電器を試験活用中です。乾電池は定期的な交換が必要ですが、木炭蓄電器は雨にも強く、長期にわたりメンテナンスフリーで使えます。現在、1年半以上、毎日問題なく稼働中です。
また、地産地消型エネルギーシステム構築に向けては、木材の伐採、炭焼き、ソーラーシステムに取り組む地元団体との連携が進んでいます。難航していた木炭を活性炭に変える賦活(ふかつ)作業も、陶芸家の協力を得て陶芸用電気炉の改造に成功。特製装置を製造できました。
これらと同時に、木炭蓄電器の存在を知ってもらうためのワークショップも実施しています。「自分でつくれる」という体験は生きるうえで自信になります。
まだまだ研究途上な技術もありますが、木炭蓄電器の性能アップと簡易化を進め、普及に弾みをつけていきたいです。
木炭蓄電器は、島根県の松江工業高等専門学校との共同研究として活動中。
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