
病気に関する理解を深め、主体的に治療に取り組むことはとても大切ですが、ぜん息をコントロールしていくうえで、医師とのパートナーシップが重要となる点は、成人の場合も変わりありません。治療に対する慣れや日常の多忙により受診から遠ざかってしまわないように心がけましょう。
ぜん息の場合は主に内科またはアレルギー科、呼吸器内科を受診します。医師が患者さんのぜん息コントロール状態を把握するうえで、もっとも重要な手がかりとなるのが「問診」です。以下のことをあらかじめメモにまとめて持参し、自分の状況を医師に詳しく伝えましょう。
あわせて、ぜん息日記に日々のピークフロー値や症状、気になることなどを記録して持参するのもおすすめです。医師が患者さんの状態を正確に把握でき、より適切なアドバイスや治療方針を立てることにつながります。
日ごろ疑問に思っていることや気になること(例えば、使用している薬の副作用や使用後の体調不良についてなど)があれば、あらかじめメモを用意しておくと忘れる心配もなく、スムーズに伝わります。
40~60代は成人ぜん息の発症ピークですが、この時期は生活習慣病の発症も気になるところです。高血圧や糖尿病などぜん息以外の疾病をもっている場合は、かかりつけ医に総合的に把握してもらいましょう。
専門医などにかかっていてそれが難しく、複数の医療機関を受診している場合は、ほかの疾病で受診する医療機関に、ぜん息治療で使用している薬やアレルギーの状態について伝えるようにしましょう。ぜん息担当医に紹介状(診療情報提供書)を作成してもらうことをおすすめします。
医師との良好なパートナーシップを築き、相互に働きかけることが重要です。そのためには、患者側は、自分でぜん息をコントロールするという認識を持ち、わからないことや疑問に思うことは、質問してきちんと理解しましょう。
医師の指示を守るという基本的なことが、なかなか実行できないこともあるでしょうが、「ぜん息を甘く見ていると、最悪、ぜん息死ということもありうる」ということを忘れないでください。
ぜん息患者さんに必要な受診のタイミングは、発作が起こったときだけではありません。よい状態が続いていると思われる場合も定期的に受診し、病気がどのような状態にあるか、日常の自己管理は適切に行えているかどうか、医師の問診や検査によって評価してもらいましょう。
長期にわたる治療管理の過程で、ぜん息のコントロールがうまくいっていれば、薬の種類や量を減らす(治療をステップダウンする)ことも可能です。反対に悪化の傾向がみられれば、薬を増やす(治療をステップアップする)必要もあります。こうした薬物療法プランの見直しは、あくまでも医師との相談にしたがって行います。症状の経過に合わせて適切な薬物療法を続けていくためにも、定期的な受診は重要な意味を持つわけです。くれぐれも患者さん自身の判断で薬の使用を中止したり、量や回数を増減したりすることのないようにしましょう。