成人ぜん息の基礎知識 健康な人と変わらない日常生活を送れるようになること

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さまざまなぜん息

運動誘発ぜん息

運動したときに起こるぜん息発作を「運動誘発ぜん息」と呼びます。ぜん息だからといって、運動を制限する必要はありませんが、ふだんから治療を継続して、ぜん息をうまくコントロールしておくことが、運動誘発ぜん息を起こさないためのポイントです。

ここがポイント!

  • 運動誘発ぜん息が出るのは、ぜん息をうまくコントロールできていない証拠です。
  • 治療の見直しが必要なこともあるので、医師に相談しましょう。
  • 入念なウォーミングアップや運動前に発作止めの薬を使うことも予防になります。

運動誘発ぜん息が起こりやすい条件

  1. 1.運動の種類や時間
    激しい運動
    長時間の運動
    歩行や水泳では起こりにくく、ランニングでもっとも起こりやすい
  2. 2.ぜん息の状態
    ふだんからよく発作が出る
    気道が過敏で、軽い刺激でもすぐに発作が起こる
    ふだん使っている薬を忘れたとき
  3. 3.運動する環境
    空気が冷たく乾燥した環境(とくに冬)

運動誘発ぜん息が起こったら

  1. 1. 運動を中止する
  2. 2. 水分をとって楽な姿勢で休む
  3. 3. 持っている短時間作用性β2刺激薬(発作止めの薬)を吸入する
  4. 4. 改善がみられない場合は、医療機関を受診すること

運動誘発ぜん息を予防するには

もっとも重要なことは、ふだんから発作が起こらないように長期管理薬を継続し、ぜん息をコントロールしておくことです。
また、ウォーミングアップを入念に行うこと、運動15分前の短時間作用性β2刺激薬の吸入も効果的だといわれています。直前のインタール®の吸入、ロイコトリエン受容体拮抗薬の服用の効果も報告されています。

運動を続けましょう

適度な運動を続けることで、内臓脂肪の減少や筋肉量の増加がおき、体力もつくことで、長期的には発作が起こりにくくなります。1日20分以上の速い歩行がおすすめですが、どんな運動でもかまいませんので、続けることが大切です。

呼吸訓練をしましょう

発作時の息苦しさを軽減するために、横隔膜を使った腹式呼吸を身につけておきましょう。ふだんから腹式呼吸を意識的にできるよう訓練しておくと、運動誘発ぜん息や小発作程度であれば、腹式呼吸だけで落ち着く場合もあります。

腹式呼吸と胸式呼吸のちがい

  • 腹式呼吸
    • 横隔膜が下がって、肺が広がる。
      息を吸う
    • 横隔膜が上がって、肺がしっかり縮まる。
      息を吐く
    効率的に肺の炭酸ガスを吐き出し、新鮮な空気中の酸素をたくさんとり込むことができる
  • 胸式呼吸
    • 横隔膜が下がらず、肺は横に僅かに広がる。首と肩も緊張する。
      息を吸う
    • 横隔膜はそのままに、肺が元に戻る。
      息を吐く
    エネルギーの消費が多いにもかかわらず、古い空気を肺から十分に吐きだすことができず、新鮮な空気をたくさん吸入することができない

腹式呼吸を練習しよう

  1. 両手をお腹に当てます。
  2. 息をなるべく吐いて、お腹を引っ込ませます。
  3. 鼻で深く息を吸って、お腹をできるだけふくらませます。
  4. 口をすぼめて、5秒くらいかけてゆっくり息を吐き出します。

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