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職場にいるときだけぜん息の症状が出る、特定の作業をしているときだけぜん息の症状が出る、ということはありませんか? 特定の労働環境下で、特定の職業性物質にさらされることにより発症するぜん息を「職業性ぜん息」と呼びます。職業性ぜん息の原因となる物質はさまざまで、煙や塩素などの刺激物質と、アレルギー反応を引き起こす原因となる感作物質に分けられます。さらに分子量の違いから、高分子量物質と低分子量物質に分けられます(下表参照)。
| 職種 | 原因となる物質 | 
|---|---|
| 看護師、医師、ゴム手袋使用者 | ラテックス | 
| こんにゃく製粉、製パン・製麺業者、精米、コーヒー豆取扱者 | こんにゃく舞粉、小麦粉、そば粉、米、コーヒー豆 | 
| ビニールハウス内作業者、生花業者 | キノコ胞子、花粉 | 
| 実験動物取扱者、獣医、調教師 | 動物の毛、フケ、尿タンパク | 
| 化粧品会社の美容担当者、理容師 | 人のフケ | 
| カキのむき身業者、干しエビ製造、いりこ製造業者 | ホヤの体成分、干しエビ粉じん、いわし粉じん | 
| 柔道整復師 | トリコフィトン | 
| クリーニング業、薬剤師、清酒醸造業者 | 酵素洗剤、酵素 | 
| シリアル食品製造業者、チーズ製造業者 | ハチミツ、凝乳酵素 | 
| 職種 | 原因となる物質 | 
|---|---|
| 薬剤師、製薬会社従業員 | 薬剤粉じん(高分子量物質の薬剤の場合もあり) | 
| 製茶業者 | 精製緑茶成分(エピガロカテキンガレート) | 
| 美容師、理容師、毛皮染色業者 | 過硫酸塩、パラフェニレンジアミン | 
| 染料工場従業員 | ローダミン、シカゴ酸 | 
| 金属メッキ取扱者、セメント製造、白金酸素センサー製造業者 | クロム、ニッケル、プラチナ | 
| 塗装業者、ポリウレタン製造業者 | イソシアネート(TDI、MDI、HDI) | 
| 超硬合金製造業者 | タングステン、コバルト | 
| 補聴器製造業者、製版業者 | シアノアクリレート | 
| エポキシ樹脂、耐熱性樹脂製造業者 | 無水フタル酸、酸無水物 | 
| 製材業者、大工、家具製造業者 | 木材粉じん(米杉、ラワンなど) | 
| はんだ付け作業従事者 | 松脂(フラックス) | 
| 瞬間接着剤作業者 | シアノアクリレート系接着剤(市販の瞬間接着剤) | 
発症したぜん息が職業性ぜん息かどうかを調べるためには、医師の問診に詳しく答えることが、有用です。以下の内容を詳しく伝えましょう。
職業性ぜん息の治療では、一般的なぜん息の治療と同様に薬物治療が行われます。
原因物質にさられ続けると症状がひどくなり、呼吸機能も低下します。そのため、職業性ぜん息と診断されたら、原則として原因物質を完全に排除しなくてはなりません。ただし、仕事を辞めるのはなかなか困難なことです。職場の理解が得られるのであれば、配置転換などを申し出るのが理想的ですが、現実的には、原因物質をできるだけ避けながら(マスクをする、換気をするなど)、ぜん息の薬物治療を継続していくことになります。それでも症状が悪化してしまう場合には、医師とよく相談のうえ、職業を選択する必要が出てくる場合もあります。