近年、体に免疫力をつけてぜん息の原因となるアレルギー反応を起こしにくくする「アレルゲン免疫療法」や、重症ぜん息に対する新しい治療法が登場しています。
皮下免疫療法
これまでのぜん息治療は、薬を使い現れている症状を抑える治療(対症療法)が主でした。しかし、対症療法ではぜん息を根本から「治す」ことはできません。これに対してアレルゲン免疫療法は、体のアレルゲンに対する反応(免疫反応)を変えることで、体に免疫力をつけてアレルギー反応を引き起こしにくくする治療法です。
舌下免疫療法
免疫療法には、アレルゲンを皮下に注射する「皮下免疫療法」と、舌の下にアレルゲンエキスをたらす、もしくは錠剤を入れる「舌下免疫療法」の2種類があります。
ダニアレルゲン免疫療法は、ダニがアレルゲン(アレルギーの原因)となってぜん息を発症している患者さんに、ダニエキスを注射で投与し、体のダニアレルゲンに対する反応を変化させ、体質改善の面からぜん息を治療していく方法です。ただし、治療には長い年月がかかり、すぐに効果が現れるわけではありません。ダニアレルゲン免疫療法を受ける際には、さまざまな条件や注意点があります。医師とよく相談のうえ治療に臨みましょう。
※現在のところ、ぜん息に対するダニアレルゲン免疫療法は、皮下免疫療法のみが保険適用となっています。
対象 |
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方法 |
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治療期間 |
ダニエキスの濃度を徐々に高くしながら、週1~2回、20回程度投与(標準法)。数日間入院して行う急速法もあります。
効果の現れるダニエキスの濃度である「維持量」に到達してから、3~5年、4週間に1回投与。
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副作用 |
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注意点 |
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高用量の吸入ステロイド薬や複数の薬剤を併用しても症状が安定しない、重症のぜん息患者さんを対象とした新しい治療法が登場しています。
アレルギーが原因となって起こるぜん息の場合、体の中でアレルゲンに対するIgE抗体というタンパク質が大量につくられます。アレルゲンと結合したIgE抗体がマスト細胞にくっつくと、マスト細胞からヒスタミンなどが放出され、アレルギー反応(炎症)が起こります。
抗IgE抗体には、IgE抗体がマスト細胞にくっつくのをブロックする働きがあります。その結果、アレルギー反応(炎症)を食い止めることで、ぜん息の症状が改善し発作を減らすことにつながります。
ハウスダストなどの吸入アレルゲンに対する特異的IgE抗体を持っていて、総IgE値が30~1500IU/mLの範囲にある場合に対象となります。
ぜん息を重症化させるひとつの要因として、血液中の「好酸球」が関係しています。好酸球の働きを活性化させるのが、IL-5(インターロイキン-ファイブ)という物質です。
抗IL-5抗体には、IL-5の働きを抑えて、炎症を引き起こす好酸球を減らす作用があります。気道に集まる好酸球が減少することで、ぜん息の症状が改善し発作を減らすことにつながります。
血液中の好酸球数が多い方が効果が高いため、過去1年以内に好酸球数が300/μl以上のことがあった、もしくは、現在150/μl以上の場合に注射がすすめられています。
好酸球を活性化させるIL-5が、好酸球の表面にあるIL-5受容体にくっつくのを妨げる薬です。さらに、ADCC活性(抗体依存性細胞傷害)で直接好酸球を除去します。これによって、ぜん息の症状を改善させて発作を減らします。
血液中の好酸球が高いほうが効果が高いとされています。
複数のぜん息治療薬を使用しても症状が改善しない、18歳以上の重症ぜん息患者さんを対象とした、手術による非薬物療法です。麻酔をして気管支の中に内視鏡を入れ、先端に付いた電極で気管支の内側を65度に温めます。気管支を温めることで筋肉が薄くなり、気管支がせまくなりにくくなります。その結果、ぜん息の症状が改善し、発作や救急外来受診の回数が減少するとされています。