ぜん息患者さんの気道は、炎症によって刺激に敏感になっているため、さまざまな要因がぜん息発作や悪化の原因になります。自分はどんなとき、どんな状況で発作を起こしやすいか確認し、対策をとっていきましょう。
喫煙は呼吸機能を低下させ、薬の効きも悪くします。自分が吸わなくても、他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙も、自分が喫煙するのと同じくらいぜん息を悪化させる要因です。
カゼやインフルエンザ、肺炎などの呼吸器感染症は、ぜん息を悪化させる大きな要因です。空気が乾燥しがちな冬はとくに注意しましょう。
アレルギーの原因となる物質をアレルゲンと呼びます。どんなものがアレルゲンになるかは人によって異なりますが、ぜん息を引き起こすアレルゲンとしてもっとも多いのはダニ、カビ、ペットの毛やフケ、花粉などです。
メタボリックシンドローム・肥満は、ぜん息の悪化因子であり、発症因子であることがわかっています。内臓脂肪に含まれる脂肪細胞が、炎症を悪化させる物質を出すこと、気管支周辺の脂肪細胞のすき間に炎症を引き起こす細胞が多く集まることなどによって、ぜん息を悪化させるおそれがあります。
とくに女性の場合はBMI注1が高いほど、ぜん息が重症化することがわかっています。また、肥満を解消することで肺機能がよくなることも報告されています。
気圧や気温の変化によって、ぜん息が悪化することがあります。前日との気温差が激しいとき、台風などで気圧が大きく変化する場合には注意が必要です。
汚れた空気には気道を刺激する物質が含まれています。とくに春先はPM2.5注2が原因になることもあります。また、家の中でも、線香の煙や調理の湯気、建材に使われる化学物質などが気道を刺激することがあります。
原因ははっきりとはわかっていませんが、ストレスを感じることで体内のマスト細胞などから炎症物質が出されるため、ぜん息が悪化すると考えられています。
日本人には、体内でアルコールを分解する際に発生する毒物・アセトアルデヒドを分解する酵素が欠損していたり、不完全な人が多いといわれています。このような人が飲酒をすると、アセトアルデヒドによって顔や全身が紅潮したり、動悸がしたりします。同様に気管支の粘膜もむくむため、ぜん息の症状が悪化することがあります。また、アセトアルデヒドにはマスト細胞などからヒスタミンを遊離させる働きもあるため、これによってもぜん息症状が悪化します。さらに、赤ワインなどに含まれる防腐剤によって気管支が収縮し、悪化することもあります。無理な飲酒は控え、飲酒の機会がある場合には医師に相談しましょう。
成人ぜん息患者さんの約5~10%、とくに鼻ポリープ注3と副鼻腔炎のあるぜん息患者さんでは、アスピリンやロキソプロフェンなどの解熱鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)によって、重症のぜん息発作が誘発されることがあります(アスピリンぜん息)。
高血圧の治療や緑内障の治療(点眼薬)に使用されるβ遮断薬には、気管支を収縮させる働きがあるため、ぜん息を悪化させます。