成人ぜん息の基礎知識 健康な人と変わらない日常生活を送れるようになること

知識編ぜん息を知る

社会のサポート体制

ぜん息の治療を進めるにあたって、病気や治療についてのさまざまな心配ごとや悩みごとが出てくることがあるのではないでしょうか。また、高額な治療を選択しなければならないこともあります。ぜん息について相談できる機関や医療費助成の制度が整っていますので、ぜひ活用しましょう。

ここがポイント!

  • いつでも受診できる「かかりつけ医」を持ちましょう。
  • 医療費が高額になったとき、活用できるさまざまな制度があります。
  • 全国の患者会やウェブページを活用して、積極的にぜん息の情報収集をしましょう。

ぜん息の医療体制

かかりつけ医を持ちましょう

大きな総合病院や大学病院などは検査機器が充実していたり、高度な治療が受けられたりしますが、毎回予約の必要があったり、待ち時間が長くなることがあります。自宅や職場の近くに、予約しなくてもいつでも受診できる「かかりつけ医」がいれば安心です。
症状が安定しているときはかかりつけ医に診てもらい、精密検査や高度な医療が必要になったときには、かかりつけ医から病院を紹介してもらう「病診連携」という仕組みもあります。かかりつけ医に書いてもらった「紹介状」を病院に持っていくことで、自分の情報を両方の医師に共有してもらうことができ、無駄な検査を省くことにもつながります。逆に、病院から地域の医師を紹介してもらうこともできます。

かかりつけの薬局や薬剤師をつくることも勧められます。複数の病気があり、たくさんの薬を使う場合など、飲み合わせが悪くないか、同じ作用の薬が重なっていないかなどをチェックしてもらうことがとても重要です。自分の「かかりつけ薬局(薬剤師)」を決めて、薬は必ずその薬局でもらうようにすれば、自分の薬をすべて管理してもらうことができ、安心です。定期的に吸入方法のチェックもしてもらいましょう。

アレルギー疾患対策基本法による医療体制の整備

ぜん息やアトピー性皮膚炎、花粉症、食物アレルギーなどのアレルギー疾患への対策を総合的に推進するため、2014年に「アレルギー疾患対策基本法」が成立し、2015年12月に施行されました。2017年3月に告示された基本指針では、国や地方公共団体は今後、アレルギー疾患に関する正しい(科学的根拠に基づく)情報提供や、適切な医療提供体制を確保していくことなどが明記されています。
現状、アレルギー専門医が少ないことや専門の検査や治療ができる医療機関が偏在しているなどの問題があることから、全国どこでも等しく高度な医療が受けられる仕組みづくりが進められています。

ぜん息診療の指針となる「ガイドライン」

ぜん息の専門医ではない一般の内科医にかかった場合でも「科学的根拠に基づいた効果の明らかな治療法」を受けられるようにするために、「喘息予防・管理ガイドライン(以下ガイドライン)」が日本アレルギー学会によって作られています。ガイドラインには、診断方法や重症度の判定の仕方、薬の使い方などぜん息の「標準的な治療法」が書かれており、医学の進歩とともに更新されています。ガイドラインによる標準的な治療法の普及により、ぜん息で亡くなる患者さんや入院する患者さんが減少しました。ただし、実際の治療の際にはガイドラインの標準的な方法に、それぞれの患者さん固有の状態などを医師が判断し治療することになります。患者さんがガイドラインを読む際には、あくまでも大まかな治療の「めやす」や「方向性」としてとらえましょう。

社会のサポート

医療費が高額になったときに利用できる制度

高額療養費

健康保険制度には、加入者が月初から月末までの1か月で一定の金額(自己負担限度額)を超える医療費を払った場合、申請するとその超えた分が払い戻される「高額療養費」という制度があります。

  • 利用する場合は、加入先の医療保険者(健康保険証を発行している機関=国民健康保険組合、健康保険組合、協会けんぽなど)へ申請書を提出します。
  • 高額療養費の対象となるのは、保険適用となる医療費のみです。
  • 事前に「限度額適用認定証」を病院に提示すると、病院の窓口で支払う金額が、自己負担限度額までとなります。
  • 自己負担限度額は、被保険者の年齢や収入、直近1年間に高額療養費の支給を受けた回数等によって異なります。

★詳しくは、加入している医療保険者にお問い合わせください。

医療費控除

税法には、1月1日から12月31日までの1年間で一定金額以上の医療費を支払った場合に申告すると、一定の金額(多くの場合は10万円を超える金額)を、所得から差し引かれ、所得税等が軽減される「医療費控除」という制度があります。

  • 支払った医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の方は、総所得金額等の5%)を超えた場合に利用できます。
  • 確定申告の際に、税務署へ申告書を提出します。
  • 保険適用外の医療費等も含まれますが、高額療養費として支給を受けた金額は除かれます。

★詳しくは、国税庁のホームページをご覧いただくか、お近くの税務署にお問い合わせください。

高額療養費と医療費控除の相違点
  申請・申告先 対象となる期間 内容
高額療養費 加入先の医療保険者
(国民健康保険、健康保険組合、協会けんぽなど)
月初~月末の1か月
(同一の暦月内)
医療費
(保険適用分)
医療費控除 税務署 1/1~12/31の1年間
(同一年内)
税金

自治体が実施する事業

お住まいの都道府県、市区町村によってはぜん息の治療費を助成してくれる制度があります。お住まいの都道府県、市区町村が行っている制度をお確かめのうえ、活用しましょう。

ぜん息のことを相談したい、勉強したいときには

お住まいの地方公共団体や患者会、学会などがぜん息等のアレルギー疾患に関する講演会や啓発イベントを行っています。興味がある方は参加してみましょう。
環境再生保全機構のホームページ「ぜん息・COPDのプラットフォーム」ページでは、さまざまなイベントをご紹介しています。ぜひご覧ください。

ぜん息に関する情報収集ができるサイト

ぜん息をコントロールするためには、治療のことを医師に任せきりにするのではなく、ご自身やご家族が「ぜん息とは何か?」「日常生活で何をするべきか?」「医師に何を伝えるべきか?」などを知ることが大切です。科学的根拠に基づいた確かな医療情報を発信しているウェブサイトなどを活用して、積極的に情報収集していきましょう。

環境再生保全機構(ERCA:エルカ)が行っている事業

環境再生保全機構(ERCA:エルカ)では、ぜん息に関するパンフレットや自己管理に使うツールなどの無料配布や、電話・メール相談室などを開設しています。ぜひ、ご活用ください。

関連リンク

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