
地球環境基金便り No.47 (2019年9月発行)
公害資料館ネットワークの活動の軸になっているのは、年に一回開催している「公害資料館連携フォーラム」です。各地の公害を伝える取組を学び、公害地域の再生への道のりを共有することで、公害教育と公害資料館の可能性について議論する場と位置づけたこのフォーラムには、毎年、全国から200人以上が集まります。「資料館関係者や公害被害者団体はもちろん、企業の関係者、研究者、教員、学生など多様な人が集まります。昨年のフォーラムではイタイイタイ病元原因企業の元社員の方が登壇し、当時どのような考えでどのような行動をしたかを話してくれました。企業のなかでも公害の経験を若い社員に伝えていくための大切な場になっているようです」と林さんは言います。今年のフォーラムは、12月に倉敷市で開催する予定です。
公害を体験した世代が少なくなり、公害をイメージできない世代がますます増えてきた今、林さんは「公害の経験の教訓化」を進めていきたいと話します。「公害教育は、どうしてもどのような被害があったのかということに偏りがちですが、被害の状況だけではなく、どのように解決したかということも大切です。個別の事例から反省すべき点や学ぶべき点は何かを明らかにし、教訓としてまとめ、公害資料館ネットワークから発信していきたいです。その教訓が、二度と公害を起こさないことはもちろん、公害以外にも、地域で何か問題が起きたときに、住民が力を合わせて問題解決のために行動していく助けになっていくと考えています。」
フォーラムの狙いその1: 気軽に公害を学んでほしい!
フォーラムで好評なのが、実際に公害があった地域を見て回り、住民の方に話を聞くフィールドワークです。
フォーラムの狙いその2: さまざまな視点から公害を知ってほしい!
フォーラムでは、被害者と公害の原因となった企業の関係者とで意見交換を行うなど、さまざまな意見を聞くことで問題の全体像が学べるようにしています。
フォーラムの狙いその3: 公害が起こらない未来を!
公害問題を次世代にどう伝えていくべきかを考え、資料をまとめた共通展示パネルを作成するなど、情報を発信しています。