
地球環境基金便り No.48 (2020年3月発行)
特集LOVE BLUE
~美しい水辺を次世代に~
ごみを拾った後、分別して数え、記録する児童たち
全国で水辺の清掃活動が行われていますが、なかなかごみはなくなりません。水辺のごみをなくすためには、拾うだけではなく排出源の根本対策が必要です。しかし1団体の力や1河川での取組ではできないため、2015年に水辺の環境保全活動に取り組む複数の団体により、水辺のごみ問題の根本的な解決を目指し推進する「全国川ごみネットワーク」が構築されました。
お話を伺った伊藤 浩子さん
当団体が取り組んでいるのが「学びのあるごみ拾い」です。ごみ拾いを単なる美化運動で終わらせず、「なぜ川にごみが多いのか?」「ごみを減らすにはどうすればいいか?」などを考える時間を設け自ら学び、ごみ削減の行動変容を促そうというものです。
それを実践したのが、18年に長野県下諏訪町の小学校で実施した「水辺のごみ削減プログラム」です(下図参照)。水辺のごみの現状を知り、体験を通じてごみ削減のためにできることを考え、周囲にも伝えることを目的とした企画で、児童41人が参加。諏訪湖に大量のペットボトルが漂着している現状を知った児童からは「湖と魚と鳥に迷惑をかけている」「諏訪湖のごみ問題を多くの人に伝えたい」などの声があがりました。プログラムのまとめとして、児童は「諏訪湖クリーン祭」で「ごみを捨てない、拾う、持ち帰ることをやっていく」「自分の行動が生き物の命を奪う危険があることを伝えよう」などと発表。体験したからこその力強い言葉に大人も聞き入っていました。
(2018年下諏訪町で実施)
最近、海ごみ問題はよく知られるようになりましたが、残念ながら海ごみは海外から来ていると思う人も多く、私たちの近くのごみ箱から溢れたごみや、道端に捨てられたレジ袋や飲料容器などが、排水溝や川を通じて海に流出することは認識されていません。そこで今年度は、神奈川県の江ノ島で清掃活動に取り組むネットワーク加盟団体「NPO法人海さくら」との共催で、楽しく、気づきがあるごみ拾いイベント「境川ウォーキング」を実施しました。江ノ島をスタートし、その対岸に流れ込む境川を遡るコースでウォーキングしながらごみを拾います。歩いた後はごみを分別し、その量の多さを実感してもらうなど、歩きながら川と海のつながりを感じられるイベントになりました。
いつか水辺の清掃活動が必要なくなる日が来ることを願い、今後もごみ削減の行動変容を促す普及啓発活動や、意図せず流出してしまうごみの削減など、さまざまな方面からの対策を進めていきます。
「お楽しみ」としてお笑い芸人のライブや「川ごみビンゴ」などを企画。笑顔あふれるごみ拾いイベントになった