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地球環境基金便り No.50 (2021年3月発行)

特集環境×防災

NGO・NPOの活動事例から
特定非営利活動法人 ezorock

平時の地域活動で生まれたつながりが
災害時の支援活動の原動力になる

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胆振東部地震の被災地、厚真町の避難所裏につくられた遊び場「ハッピースターランド」。ezorockからもたくさんの若者が訪れ、被災した子どもたちを元気づけた

ezorockは若者を中心に、北海道内の農業、交通、まちづくりなど、さまざまな地域課題の解決に取り組む団体です。年間約2000人の若者が道内20以上の市町村で300回以上の活動を展開しています。

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コーディネーターの水谷あゆみさん

当団体は災害支援に特化した技術を持っているわけでも、日常的に災害のための活動をしているわけでもありません。しかし2018年に活動拠点である北海道で胆振東部地震が発生したとき、発災2日後には被災地に入り、支援活動を開始。延べ300人以上の若者が災害ボランティアの立ち上げや子どもの遊び場の運営などに携わったことをきっかけに、災害時と平時の活動のつながりを強く認識するようになりました。

支援活動において活躍したのが、過去に当団体で子どもの自然体験活動や地域づくりなどの現場実践型プログラムに参加したメンバーでした。プログラムで現場での連絡体制づくりや子どもたちとの接し方などを身につけた若者が、災害現場でボランティアリーダーやコーディネーターを担うなど、大きな力を発揮したのです。この経験から、平時には道内各地でさまざまな地域課題解決のための活動に参加し、そして災害時には被災地で活躍できる人材の育成に力を入れ始めました。

若者と地域のつながりを生む現場実践型プログラム

いざというときに力を発揮するには、日頃から地域に交わり、地域を「知る」ことがとても大切です。ある地域で災害が発生し大変な状況になっても、その地域やそこに住む人々を知らなければ「他人事」になってしまいます。友人の身に何か起きたとき、自然に「助けたい」と思うように、その地域や住民をよく知っていることは地域課題に取り組む大きな原動力になります。

  • 写真3

    現場実践プログラムに参加して身に着けた子どもたちとの接し方が災害現場でも役立つことがわかった

ひと言に「知る」といっても、教科書的な座学ではなく、もっとリアルな地域の現状に触れることが、若者と地域とのつながりを生みます。私たちはそのきっかけづくりのために、これまでの現場実践型プログラムを災害支援やまちづくりに関する分野にも広げて実施。昨年度は15の地域で77日、延べ269人の若者が参加しました。アンケートでは97%が今後も参加を希望するなど反応はよく、希望者に対してはボランティアのコーディネートや受け入れ団体との調整といった知識・技能を身につける研修会も実施しています。

普段の活動で培った「つながり」がいざというときに生きる

  • 写真4

    熊本豪雨災害支援では、現地メンバーと頻繁にやりとりをしつつ、Googleフォームやスプレッドシートなどオンタイムでアクセスできるツールや、Zoom、LINEオープンチャットなどの通信ツールを活用してバックオフィスを運営した

当団体は昨年の夏、熊本豪雨災害の際に遠隔でのバックオフィス(遠隔でのボランティア本部運営)を実施しました。コロナ禍で県外からボランティアが入れないなか、リモートで近隣からのボランティア受付や説明会、活動場所のマッチングを担うなど、離れた場所からでも日常の活動で培った経験を被災地で役立たせることができました。

災害時に支援活動を行うには、地域内外のネットワークや普段のつながりが欠かせないとより強く感じています。今後も「いつものつながりが、いざというときの力に」ということを常に心に留めながら活動を継続していきたいです。

特定非営利活動法人 ezorock

活動名
災害時にも強い持続可能な北海道のための地域づくり人材育成事業
団体所在
北海道札幌市
URL
https://www.ezorock.org/
SDGsの目標
  • 11 住み続けられるまちづくりを
  • 12 つくる責任 つかう責任
  • 13 気候変動に具体的な対策を
  • 14 海の豊かさを守ろう
  • 15 陸の豊かさも守ろう

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