地球環境基金便り No.50 (2021年3月発行)
せっかく整備された設備も維持・管理されなければ、衛生環境も持続しないため、各コミュニティで発言機会が多く、周りから信頼されている女性を中心に管理組織を立ち上げました。主な業務として、利用ルールの取り決めと周知、共同設備の利用料の徴収、故障に備えた積立て、利用状況のモニタリングなどを行っています。また、メンバーには設備管理だけでなく、会計や行政への申請、住民からの要望・苦情の受付など、運営に必要な業務のトレーニングも実施しました。
お話を伺った事務局長の高村 哲さん(左)と酒井 彰さん(右)
住民へのアンケート調査では、「トイレが清潔になった」「水洗や手洗いが定着した」といった回答が高い割合を示していて、衛生環境が持続しているということが分かっています。
今後について酒井さんは「私たちの活動はあくまでもきっかけづくりであり、現地の住民が自主的に衛生環境を維持・管理できるようにすることが目的です。そのためには、ワークショップのカリキュラムや教材、管理業務マニュアルなどの汎用化を進め、そのうえでさらに多くのコミュニティにおいて展開できるよう、地方政府や現地NGOとも連携し、現地関係者によって衛生環境の改善が促進されていくように活動を進めていきたい」と話されました。
コミュニティ活動その1: ワークショップの様子
家族の衛生や健康に関心の高い子育て中の女性を中心にワークショップを開催。各コミュニティ約100名(25名ずつ4回開催)が参加し、感染経路ごとの下痢症リスクの大きさを学び、生活行動を見直した。
コミュニティ活動その2: コミュニティの女性たちが
イニシアティブをとる
女性を中心とした管理組織が形成され、新しい設備の利用ルールが決められた。このコミュニティ組織が自主的に設備の維持・管理を行っている。
コミュニティ活動その3: 改善後のトイレの手洗い場/新しい深井戸
改善後のトイレの手洗い場(右)/新しい深井戸(左)
給水設備、手洗い場の設置によって衛生行動が習慣化されるようになった。ルールに従って水くみが行われるように、前面の扉は時間を決めて開けるように管理されている。